リモートワークをもっと当たり前の社会にするために、「リモートワークは普通!」になっている会社を紹介していきます。今回は、人気のメディア・プラットフォームサービス「cakes」「note」を運営する、株式会社ピースオブケイクのエンジニア・福井 烈さんにお話を伺いました!
現在は青森の自宅からリモートワークをされているという福井さん。ピースオブケイクでの開発の傍ら、奥様の経営するアイシングクッキー屋さんのシステム構築やデザインなども行なっているそうです。生活をガラリと変えた経緯、チームから離れて仕事すること、自分をどうコントロールするかなど、いちリモートワーカーとして、リアルな現場の声を聞かせてくださいました。
福井烈ふくい たけし
株式会社ピースオブケイク エンジニア
2015年3月より株式会社ピースオブケイクに在籍。2015年6月より神奈川県から青森県に住まいを移し、リモートワーカーとして自社サービスである cakes と note の開発・運用に携わり主に Rails や AWS 周りを見ている。
これまで主に Web サービスの開発・運用、モバイルネイティヴゲームアプリの API の開発・運用の他、データ分析基盤の構築、インフラ・デプロイの自動化等を経験。最近は PWA や WebAssembly に高い関心をもっている。
また、業務の傍ら、妻が開業したアイシングクッキー専門店 en の Web/経理を担当している。
リモートワークのきっかけは “Uターン”
では、まず青森に移住したきっかけを教えていただけますか?
福井私も妻も青森出身なんですけど、妻の実家の家族が体調を崩してしまって、サポートが必要だということになったので、私たち家族が手を挙げてUターンしたという形ですね。
そもそもは東京で働いていらっしゃったんですか?
福井そうです。Uターンを決めた際に、当時所属していた会社の上長に相談をしたんですけど、過去にセキュリティ絡みの事案なんかもあった関係で、ちょっと難しいと。
なるほど。
福井そういうわけでその会社は退職しました。それが2014年の10月とか11月くらいの話ですね。その辺りでちょうどエンジニア界隈やweb業界で、リモートワークっていうキーワードが頻出するようになっていて…まさにソニックガーデンさんとかですね。そういう事例をいくつか見かけて、「リモートワークっていう働き方もあるんだな」というのが頭の片隅にありました。
光栄です。
福井最初は2つ選択肢があったんです。普通にUターンして地元の企業に就職するか、もしくは自分で起業するか。最後の選択肢として、都内の会社に所属しながら自分だけUターンしてリモートワーク。その3つ目のリモートワークという軸で、ダメもとですけど探していて、知り合いづてに今のピースオブケイクに行き着きました。
ピースオブケイクさんはもともと「リモートワークOK」で募集をかけていたんですか?
福井当時のCTOがシンガポール在住で、リモートワークで働いているというのを知って、当時ちょうどピースオブケイクに知人がいたので、当たってみたという感じです。なので、採用自体もリモートワーク前提と最初からお伝えして、採用していただきました。さすがに理解が早い、と思いましたね。
福井さん以外にも同じようなスタイルで働いている一般社員の方はいらっしゃいますか?
福井今現在はいないですね。
じゃあ、チームの中で1人リモートワーク。
福井今はそうですね。ただ、週2回、3回の割合でリモートワークで働いている社員は他にもいます。あと、ちょっと先にはなるんですけれども、福岡にUターンしたいと言っている人がいたり、北海道に移住したいと言う人もいるので、今後増える予定はあります。
画面越しだけでは伝わらない部分を埋めたい
今、青森にいて、コミュニケーションの手段は、ビデオとテキストですか?ミーティングや上京など、定期的な習慣はありますか?
福井ビデオチャットだと、毎日「朝会」をやっています。そうは言ってもやってるのは昼ですけど。
- 一同
(笑)
福井12時から毎日ミーティングして、そこでは雑談とか、困ってることを共有したりとか、そういうのがメインですね。上京するタイミングは特に決まっていなくて、完全に任意です。僕が行こうかなと思うタイミングは、新しく社員が入ってきた時ですね。
新しい人が来ると、1度はリアルで会っておきたい気持ちになります?
福井そうですね。やっぱり画面越しに話すと。
ちょっと違いますね。
福井背丈だったりサイズ感的なものも含めて、発せられるオーラというか雰囲気というのがどうしてもビデオ越しだと伝わりづらいので。
サイズ感や奥行きの印象って、実際に会うと全然違うんですよね。不思議なもので。
福井そうですね。あとは、テキストチャットが基本的にメインのコミュニケーションになるんですけど、どうしても意識しないと無機質になってしまうところがあるんです。その相手の雰囲気が分かってると、無機質なテキストでもなんとなく伝わるものがあるんですが、それがないと、「この人、怒ってるのかな」とか、感情が読めないところがあるので。
じゃあ、逆に福井さんがテキストや画面越しのコミュニケーションだけが続くときに、工夫してることはありますか?
福井ちょっと文面だけ見ると軽くなってしまうんですけど、文末に棒を付けて伸ばすとか、絵文字を使うとかして、柔らかくするようには心掛けてますね。
リモートワークに『向いてない』から工夫する
今は毎日自分のお仕事部屋で勤務してらっしゃると思うんですけど、働くリズムはちゃんと決めていますか?
福井弊社はコアタイムもフレックスも今採用してないので、基本的には10時~19時っていう業務時間が決まっているんです。なので、わりとその辺のサイクルは良くも悪くもつくりやすいですね。
10時にパソコンの前に出勤して、何かツールを使ってみなさんにお知らせしたりするんですか?
福井一応勤怠管理はオンラインツールを使っています。
お仕事のやりとりもテキストチャットを使うと思うんですけど、雑談のスレッドはありますか?
福井テキストの雑談は、Slackのチャンネルに雑談用のものがあります。今個人的にネックなのは、声を使って雑談ができないことですね。ソニックガーデンさんみたいに全員がリモートワーク、とまでは行かなくても、もう少しリモートワークの社員が多い環境であれば、いろいろ環境を整える余地があるとは思うんですけど、今は圧倒的少数派というか、特別な存在になってしまっているので、なかなかその辺が難しくて。最近はリモートワークをやる人が増えてきているので、福岡に今後Uターンしてフルリモートで働く予定の方と、実験的にDiscordというツールを使って音声をつなぎっぱなしにして様子見たりしています。
それで独り言ともなんともつかないことを言ってみたり?
福井そうですね。
なるほど。やっぱりテキストよりも、「なんとなく話しかける」ことは重要ですか?
福井テキストに比べて音声の方が気軽さがあるというか、テキストだと「打ち込む」という…
作業が。
福井そう、作業が発生してしまうので、そのワンクッションは大きいです。
コーディングしながら独り言を打ち込むっていうのはちょっと難しいというか、いちいち区切らないとできないっていうところはありますよね。
福井そうですね。
よくリモートワークの話題になると、「切り替えがうまくいかない」とか、「やり過ぎてしまう」逆に「さぼり過ぎてしまう」と言う風におっしゃる方がすごく多いんですけど、福井さんはどちらのタイプなですか?
福井どっちかというと後者で、さぼってしまう方だとは思うんですけども、結局、さぼっても自分に返ってくるので。
そうですね。
福井タイミング次第ですね。例えば自分の作業が終わったタイミングで、ちょっと待ちが発生したりする。タスクは他にもあるんですけど、そんなに詰まってない、となるとちょっとさぼるというか、そんなに優先度が高くないものに手を付けてしまったりとか、ちょっとTwitterを見たりして時間が15分過ぎちゃったとか、そういうのは結構あります。
その辺はある程度工夫して防ぐために、時間に区切りを付ける、集中する時間をつくるという意味でポモドーロ・テクニックというのを使っています。
25分作業して…休憩を作って、というやつですね。
福井はい。25分作業して5分休憩するっていうのを取り入れています。
時計を見ながら?
福井ツールがあるんです。たくさんあるんで、毎回定期的にツールを入れ替えて試したりしてるんですけど。
それも楽しいですね。今のところうまくいっていますか?
福井そうですね。ずっと8時間を毎回毎回タイマーを仕掛けてやってるわけではないんですけど、そうやって小さい目に見える目標を作るということで、集中できる時間が増えたなというふうには感じてますね。あとはSNSを1回開いてしまうと、なし崩し的に他のページも見て、気付いたら時間が過ぎてるみたいなことが結構あったので、それはChromeの拡張機能を使って、10時から19時(就業時間)はこのドメインにアクセスできないという設定をしています。
すごい。
福井開こうとすると開けない、ブロックされるという。
なるほど。じゃあ、ちゃんとツールを使って自分を律してらっしゃるんですね。
福井そうですね。ただ、本当に向いてる人っていうのは、たぶんそういう工夫をする必要もないと思うので。
(笑)
福井個人的にはリモートワークっていう働き方自体は向いてないのかなとは思ってます(笑)。
ある程度は何かしら決まりを作らないと上手にできない、という人の方が圧倒的に多いと思います。そのテクニックのお話、とても参考になります。
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