リモートワークに関する海外書籍を読んでみた④「The Art of Staying Productive Even Across Distance」

(最終更新 2018/08/17)

日本ではまだまだリモートワークについて書かれた書籍は多くありません。そこでリモートワークラボでは、海外で出版されている書籍の中から、リモートワークを実践するにあたって参考になりそうな書籍を選んで、研究員が読破し感想とともにご紹介しています。ぜひご参考に。

概要

この本はWrikeというアメリカのプロジェクト管理ソフトウェアを作っている会社が出している無料の約30ページほどの短いe-bookです。

二部構成になっており、第一部では世界各国1000以上の会社へリモートワークに対する意識調査を行った結果を発表しながら、リモートワークのメリットや、リモートワークの普及はどれくらい進んでいるのかといった点に触れていきます。第二部では、事例をもとにどうやったらリモートワークがうまく行くのかという話をしています。

この本ではAutomatticがどのようにして運営されているのか、実際にAutomatticで働いた作者にしか語れない日々の業務の雰囲気から新人教育といった細部まで語られています。

感想

約30ページほどしかない文章なので、他の書籍と比べても深いところまで掘り下げてはいませんが、基本的に全ての話が事実に基づいており、特に調査結果のところは数字を織り交ぜて話をしているためとても納得させられました。

例えば、「リモートワークやテレワークといった働き方が普及してきている」、とはよく言われていますが、私はこの本を読むまで、どれくらい普及しているのか、これからどれくらい普及するのかといった具体的なイメージはできていませんでした。しかしこの本の中で調査対象の会社の内83%が「毎日1-2時間のリモートワークをしている」と答え、66%が「自分の会社が5年以内にリモートワークに完全移行すると思う」という問いに対して「はい」と答えたと紹介されており、私が思っていたよりもリモートワークの普及は急速に進んでおり、これからももっと普及していくだろうということが明確に確認できました。

また、面白い内容としては、「リモートワークができるようになるのであれば、何らかの犠牲を受け入れる」という人が89%で、そのうち、31%が「休暇が減っても良い」、25%が「給料が下がっても良い」と答えています。従業員の中には、給料や休暇を犠牲にしてでもリモートワークがしたいと思っている人が2〜3割もいるというのは、従業員のモチベーションを考える上で、マネジメント層も把握しておくべくことではないでしょうか。

この「リモートワークに関する海外書籍を読んでみた」シリーズで紹介している書籍の中でも一番まとまっていて読みやすく、リモートワークの概要を数字を元に理解するのに適した本だなと思います。

プロフィール

野本 司(のもと つかさ)

リモートワーク研究所研究員。大学時代にアメリカとスウェーデンでの留学を経験後、2017年4月にソニックガーデンに入社。入社前のインターンシップから現在まで、ずっとリモートワークをしている。世界各地を移住しながら働く生活スタイルに憧れがあり、現在計画進行中。趣味は旅行、プログラミング、野球。