テレワークを軸に考える!これからの企業運営

新型コロナウィルスの感染拡大の影響で「テレワーク」という言葉が当たり前になり早1年。多くの方がテレワークを経験したと思います。今後コロナ収束に向けてテレワークはどうなるのか、働き方はどう変化するのか、創業時からフルリモートで事業運営をする私たちニットの知見・経験を踏まえてお伝えしたいと思います。

コロナによって普及したテレワークは今後も続く

国土交通省が発表した2020年度のテレワーカーの割合は19.7%と、前年の9.8%から倍増しました。特に首都圏では下記のグラフのように緊急事態宣言中の4~5月で31.4%という高いテレワーク実施割合となっています。緊急事態宣言をきっかけに働き方の意識が大きく変わってきたのではないかと思います。

また、2021年6月18日には政府が地方創生基本方針決定を決定し、テレワーク推進について企業を支援する方針を発表しました。新型コロナウィルスの影響が続く中でも、都市部の企業に勤務したまま地方に移住し、仕事ができる環境を整備していくというものです。
参照)NHK WEB

このような背景から、今後もテレワークの実施はますます普及するのではないかと予想します。しかし、テレワーク導入企業の中では「やはり出社しないと仕事が進まないし、コミュニケーションも上手くいかない」と悩んでいるところも多いのではないかと思います。

では、テレワークの課題と企業ができる対処法はいったい何でしょうか。

テレワークのマネジメントは考え方を変えよう

テレワークでの最も大きな課題は「マネジメント」ではないかと私は考えます。例えば、部下や組織のへの仕事の受け渡し方、会議方法、新人研修など、「対面なら上手くいっていた」マネジメントが、テレワークだと上手くいかなくなったと思った方も多いのではないでしょうか。

そこで大切なのが「時間の考え方を変えたマネジメント方法」です。テレワーク導入前は、「9時から17時まで働く=仕事」とか「机に向かっていること=仕事」というような状態であった企業も多かったと思います。しかし、その考え方を持ったままテレワークを行うと、テレワーク本来の魅力である「時間の柔軟性」や「自分らしい働き方の選択」ができなくなってしまい、「生産性が悪くなる」という逆効果を生じるリスクもあります。

株式会社Emotion Techら3社が行なったアンケート調査によると、テレワークによる生産性について、従業員側は生産性が向上したという声が多い一方、企業側は生産性が低下したたと認識していることが分かりました。
参照)EmotionTech

企業側はテレワークにおいて、従業員を時間ではなく成果で管理することが大事です。長時間勤務をしている人が成果を出しているわけではないと、考えを改める必要があるのではないでしょうか。

企業と個人がフェアになる時代

テレワークの普及だけではなく、副業などの様々な働き方が増える方向に世の中の流れは進んでいます。これにより「企業が個人を選ぶ」のではなく、「個人が企業を選ぶ」時代になっていくのではないかと私は考えます。つまり企業と個人がフェアになっていくということです。

あくまでも私の仮説ですが、これからの会社運営は、以下の3パターンに分かれていくのではないでしょうか。

◆これからの会社運営
①事業自体を完全テレワークにする
②一部の事業をテレワークにする(ハイブリッド)
・テレワークできる職種はテレワーク、出来ない職種は出社としてすみ分ける
・その日の業務内容や従業員本人の希望によって出社とテレワークを選択できる
③全員出社に戻る

①について、私たちニットはコロナ禍以前からフルリモートで事業を行ってきました。テレワークでは実施しにくいとされる営業や人事、事業開発なども創業以来一貫してテレワークで行ってきました。コミュニケーションの頻度や方法を適切に設計すれば、テレワークでも事業を成り立たせることは可能です。

もちろん業種や職種によっては、テレワークが難しい企業もたくさんあります。よって私は、②のような「会社としてテレワーク推奨」を宣言し、テレワークできる仕事か否かですみ分け、従業員本人がテレワークするかしないかを選択できるハイブリット型を導入する企業が増えるだろうと予想しています。

従業員が通勤時間の削減や自由な勤務形態をメリットに感じ、今後もテレワークの継続を希望する可能性があるからです。実際にアメリカのGAFAのように、ハイブリッド型の運営が始まっている企業もあります。
参照)日本経済新聞

とはいえ、事業の内容上テレワークができるとしても、テレワークの実施を選ばずに③の全員出社に戻す判断をされる企業も一定数あるだろうと考えます。よって、これからの企業のあり方は「積極的にテレワークを導入しているか、否か」に二極化していくのではないでしょうか。そして新卒者や転職者は、企業を選ぶときに、その点を判断材料の一つにするだろうと予想します。

どの企業も試行錯誤しながら自分の会社にあった方法を見つけていくのではないかと思います。「個人が企業を選ぶ」時代において、マネジメント方法を見直しながら、「個人に選ばれる企業」を目指した会社運営をしていくことで、より働きやすい社会になるのではないかと私は考えています。

この記事を書いた人

小澤 美佳

2008年に株式会社リクルート入社。 中途採用領域の代理店営業、営業マネージャーを経て、リクナビ副編集長として数多くの大学で、キャリア・就職支援の講演を実施。採用、評価、育成、組織風土醸成など幅広くHR業務に従事。2018年中米ベリーズへ移住し、現地で観光業の会社を起業。 2019年にニットに入社し、カスタマーサクセス→営業を経て、現在、広報に従事する傍ら、オンラインでのセミナー講師やイベントのファシリテーターを実施。 副業で嘉悦大学の大学講師。キャリアや就職などに関する授業を担当。