ワークシェアリングが組織を強くする。体制構築のポイントとは

新型コロナウイルスの感染拡大により「テレワーク」という働き方が広まっています。それにともない、働き方改革の一つとして「ワークシェアリング」という考え方が注目されています。

ワークシェアリングとは、労働者同士で仕事を分け合うことを指します。一人あたりの労働時間短縮や、新たな雇用の創出などが目的です。

また、「長時間労働をせず、プライベートの時間を大切にする」「複数の会社で仕事をする」など一人ひとりに合った働き方ができるようにするためにも、「ワーク(仕事)をシェアする(分け合う)」という考え方は重要になってきています。

参考URL:https://www.kaonavi.jp/dictionary/work-sharing/

私たちニットは、どんな人でも時間と場所に縛られない働き方を実現できるように、チームでサポートしながら「テレワークかつワークシェアリング」というスタイルで運営しています。

今回は、私たちニットの事例をもとにワークシェアリングの体制をつくるためのポイントをお伝えします。

「ワークシェアリング」で個人に依存しない体制を実現

私たちニットは「HELP YOU」というオンラインアウトソーシングサービスを運営しています。個人が直接企業と取り引きするのではなく、ニットが契約している各クライアントから委託された業務をチームで請け負っている点が強みです。

「ワークシェアリング」の体制をとっているため、例えば誰かが体調不良になった際にも他のチームメンバーでフォローができます。また、業務内容をマニュアル等にまとめて可視化することで、人員の増減や変更があっても対応できる体制をつくってます。

お客様の要望に応じて、必要なスキルを持ったメンバーをチームに加えることも可能なので、対応できる業務の範囲が広いのも特徴です。

また、ワークシェアリングの体制をとることで、孤独を感じやすいテレワーク環境でも「他のメンバーがいる」という安心感を得つつ、自分の能力を最大限に発揮して働く楽しさを実感できます。

◆ワーク環境でワークシェアリングを始めるのに必要な6つのこと

①情報を常に可視化・蓄積
⇒他のメンバーがすぐにフォローできるように、常に情報を一元管理しておくことが大事です。

②ツール整備
⇒下記2つの導入をおすすめします。
*気軽にテキストコミュニケーションができるチャットツールの導入
*オンライン会議や面談のためのビデオコミュニケーションツールの導入

③各々がオンラインで働くための環境の整備
⇒例えば自宅を仕事場として使用する場合は、インターネット環境を整えたり、正しい姿勢をサポートする机と椅子を用意したりすることで、問題なく働ける環境をつくることがポイントです。

④セキュリティ強化
⇒業務の可視化はしつつ、権限レベルは役割に応じて設定し、情報セキュリティ体制を強化しましょう。特に、カフェなどの公共の場で仕事をする時は、オープンWi-Fiを経由した通信の盗聴や、記録媒体の紛失などによる情報漏洩に細心の注意を払う必要があります。

⑤スケジュールの共有
⇒テレワークの場合、あなたが今何をしているかを相手が逐一把握するのは困難です。スケジュールをお互いに共有し、業務状況などをシェアしましょう。この時に「副業」や「プライベート」を尊重する関係性を築くことも重要です。
※ニットには「美容院」「ママ友とお茶」などのプライベートな情報もオープンに共有する文化が根付いています。

⑥不要な会議の削減
⇒ワークシェアリングを導入すると業務の可視化ができるので「状況を共有するため」の会議などは不要な会議になりますね。

大事なのは「テレワーク」を理由に差をつけないこと

テレワークやワークシェアリングをするうえで明確にすべきことが3つあります。

◆テレワークやワークシェアリングを導入するうえで明確にすべきこと3選

①役割の明確化
②成果物の明確化
③評価指標をオンライン・オフラインで決めるのではなく、仕事の難易度で決定

「オフィスに来ることが仕事」という固定観念は捨てましょう。

上記の3つを徹底することで、各人が会社に対してどのように貢献していくかを見つめなおすきっかけにもなります。

大事なのは、テレワークだからという理由で役割を減らしたり、評価指標を低めに設定したりしないことです。あくまでも、通常の目標や評価指標をベースに、本人の志向や能力に応じた期待役割や評価指標を設定しましょう。そうでない場合、テレワーカーが「期待されていない」と感じて、やる気が削がれてしまう可能性もあります。

テレワークは働き方の一つであり、業務の目標や成果レベルを下げる必要はないのです。

テレワーカー同士の一体感を高めるために

メンバー一人ひとりが会社への愛着心や思い入れを持つことで、より一体感のあるチームをつくることができます。下記はニットの事例ですが、エンゲージメントを向上させるための機会を定期的に設けています。

◆メンバーのエンゲージメントを向上させるために工夫している7つのこと

①フォローし合えるチーム体制

②チャット:嬉しかったことを共有し合う場
⇒チャットでも「喜びの部屋」という部屋を設け、嬉しかったことをリアルタイムに共有し合っています。

③チャット:雑談をし合う場
⇒マンガアニメ・ペット・キャンプなど、さまざまなな趣味のお部屋があり、仕事とは全く関係ない雑談をしています。

④オンライン事業会議
⇒オンラインでの事業会議の冒頭に「喜びの声」というコーナーで今週の嬉しかったことを発表し、士気を高め合っています。

⑤オンラインイベント:勉強会
⇒テキストコミュニケーション講座など、さまざまな勉強会を定期的に設けています。また、仕事に役立つ情報のシェアも頻繁に行われています。

⑥オンラインイベント:雑談会
⇒週に1回、雑談をする時間を設けています。何気ない会話による新しいアイデアの創出や、メンバー同士の信頼関係を構築することにつながっています。

⑦オンラインイベント:飲み会
⇒月に1回、オンライン飲み会を開いています。その他にも、お花見や忘年会など季節ごとにさまざまなイベントを開催しています。

やはり、在宅で仕事をしていると、孤独を感じがちです。トラブルなどがあった日には、特にその傾向が強くなるのではないでしょうか。だからこそ、チームを組んで、互いの進捗を報告し合ったり、相談し合える風土を作ることを大事にしています。

雑談もすごく大事にしています。週1回30分、ただただ他愛もない話や気になることを話したり、チャットで雑談をしたり、ニュースを共有したりすることで、心理的安全性を担保しています。

「理想」の共有が一体感のある組織をつくる

ニットのビジョンは「未来を自分で選択できる社会をつくる」です。メンバー全員がこの共通認識を持つことで「チームである」という実感が生まれます。組織体系や判断基準など、全てはこのビジョン、つまり理想に沿っているかを軸に考えています。なかでも「選択」という言葉は口癖のように出てくるほどです。理想がチームの目指す指針となり、口癖がチームの文化をつくっていくのだと思っています。

ワークシェアリングを導入するうえで「どのようなチームをつくりたいか」と考えることは重要です。ビジョン、理想を共有することで、それぞれの会社にとってベストなチームがつくられるよう応援しています。

この記事を書いた人

小澤 美佳

2008年に株式会社リクルート入社。 中途採用領域の代理店営業、営業マネージャーを経て、リクナビ副編集長として数多くの大学で、キャリア・就職支援の講演を実施。採用、評価、育成、組織風土醸成など幅広くHR業務に従事。2018年中米ベリーズへ移住し、現地で観光業の会社を起業。 2019年にニットに入社し、カスタマーサクセス→営業を経て、現在、広報に従事する傍ら、オンラインでのセミナー講師やイベントのファシリテーターを実施。 副業で嘉悦大学の大学講師。キャリアや就職などに関する授業を担当。