テレワークの要!「ペーパーレス化」について考える

タブレットを持ち寄って会議に参加する。書類の束がオフィスから消える。そんな仕事の未来がすぐそこまで来ています。働き方改革を進める動きが官民を問わず行われるなか、新しい働き方としてテレワークの普及が急がれています。そのなかで、テレワークの要とも言われる重要な要素として注目を集めるのが、ペーパーレス化です。そこで今回はテレワークを支える新たな業務改善策、ペーパーレス化の重要性とその現状について解説します。

働き方改革とテレワーク

2019年4月に施行された働き方改革関連法。労働人口確保と業務効率化を目指すために、新しい働き方の導入に向けた動きが官民を問わず行われています。そのなかで注目されるのがテレワークです。テレワークとは、「テレ(離れたところ)」と「ワーク(働く)」とを組み合わせて作られた造語で、ITを活用し、所属する組織の拠点から離れ、場所や時間にとらわれない働き方のことを指します。

政府の働き方改革における、柔軟な働き方の環境づくりの一環で、テレワークの普及とそのための環境整備に向けて、現在さまざまな政策が実施されています。テレワークの導入により、いままで時間や場所などの制約から、労働に参加しづらかった人も、労働に参加できるようになり、労働人材の確保ができることが期待されているのです。

ペーパーレス化はテレワークの前提条件

テレワークを支える業務改善策のひとつとして、「ペーパーレス化」があります。ペーパーレス化とは、仕事で扱うさまざまな書類をデータ化、サーバー上で管理し、ネットワークからアクセスできるようにする、業務改善策です。あらゆる仕事は書類によって成り立っています。これまでは仕事に必要な書類はオフィス中からかき集めて行っていました。しかし書類が紙で管理されると、書類を保管しているオフィスに出向かなければ仕事ができません。

時間や場所にとらわれずに仕事をするためには、仕事に必要な書類へ、いつでもどこからでもアクセスできる必要があります。そこで仕事に必要な書類や資料をこれまでのように紙ではなく、データ化、すなわちペーパーレス化して、サーバー上で保存、ネットワークからアクセス、デバイスを使って閲覧できるようにすることが求められているのです。このようにペーパーレス化は、テレワークの前提条件で、ペーパーレス化が進むほどにテレワークで対応できる仕事が増えます。

ペーパーレス化によるメリット・デメリット

ペーパーレス化することには、テレワークがしやすいだけでなく、さまざまな効果が期待できます。ここではペーパーレス化に伴うメリットやデメリットについて紹介します。

メリット

経費削減

いままでは書類を紙で扱っていたため、印刷費や処分費、さらには保管場所の確保といったコストがかかっていました。それがペーパーレス化で紙をデータに置き換えることで、こうしたコストを省くことができます。

スペースの有効活用

書類のデータ化はコスト削減だけではありません。それまで書類の保管場所としていたスペースを新しく活用することができます。オフィスのフリーアドレス化によって、規模の縮小ができたり、レイアウトが自由になるので、これまでに比べて自由度の高いオフィス活用が期待できます。

業務効率化

これまで書類のやり取りで時間がかかり、作業が滞ることもありました。ペーパーレス化によって、書類はサーバー上で管理するために、アップロードすればすぐに共有できるようになります。これによりスムーズに仕事を進められるようになります。

セキュリティの強化

ネットワークにはアクセス制限をかけることができます。これにより、サーバー上で安全に管理され、セキュリティ面を強化することができます。紙の書類を紛失、漏洩するといったリスクも避けることができます。

環境への負荷の軽減

これまで書類に使っていた大量の紙はデータ化することで使わなくなります。これにより資源を守ることができ、また処分にかかる環境への負担も減らすことができます。

BCP対策

BCPとは自然災害や緊急事態が起きたときへの業務の対応についてまとめた計画です。いままでは、オフィスが被害を受け、物理的に書類がなくなるリスクがありました。これをサーバー上に保管することで、書類やデータを守ることができます。また交通機関がストップするなどオフィスに行けない状況が起きたときにも、サーバーにさえアクセスができれば仕事を継続できます。

デメリット

システムやネットワークによるリスク

データを保管するサーバーがダウンしてしまう、あるいはサーバーにアクセスができないといったシステムやネットワークのトラブルが発生すると、書類を見ることや共有することができなくなる可能性があります。

ICTリテラシーの必要性

いままで紙で作成していた書類の多くがデバイスを通して作成、閲覧することになります。そのためICTの知識がないと使いづらい場合があります。またサーバーやネットワークの知識がないと仕事に支障がおき、機密情報が外部に漏れるなどのリスクも考えられます。

導入への課題

ペーパーレス化は単に新しいツールを導入するものではありません。仕組みやルールを決めながら、これまでの仕事の進め方を見直し、業務全体を変えていく必要があります。そのためペーパーレス化を導入するには経費や時間がかかります。また慣れていた仕事のやり方を変える必要があるので、慣れるまでの仕事は大変です。

ペーパーレス化に必要なもの

ここまでペーパーレス化の効果などについて解説してきましたが、実際にペーパーレス化するにあたっては、さまざまなものが必要になってきます。ここではペーパーレス化する際に必要になるツールについて解説していきます。

データの保存場所

まずは書類の保管場所です。データ化した書類を保管する場所が必要になります。ただし、必要なのは倉庫ではなく、サーバー上の倉庫です。

アクセスするネットワーク

次に書類にアクセスするツールです。サーバー上に保管している書類にアクセスするためにはネットワークが必要です。このとき注意が必要なのはセキュリティーです。秘匿性の高い情報を扱うので、メンバーのみがアクセスできるよう、ネットワークに制限をかける必要があります。

閲覧用のデバイス

最後に書類を見るためのデバイスです。それまでの紙に印刷していた代わりに、書類データを見るためのデバイスが必要になります。パソコンだけでなく、近年ではタブレット端末やスマートフォンもデータを閲覧できるデバイスとして使用することができます。

効果的なペーパーレス化のために

ペーパーレス化への道は決して簡単とは言えません。ペーパーレス化を導入するにあたっては、書類をデータにするだけではなく、その周辺の仕事のあり方をを見直す必要があります。また専門的なICTの知識が必要な場合もあり、そうした知識を有する人材が必要です。ペーパーレス化を効果的に進めるには、ツールを導入するだけでなく、仕組みやルールをつくり、根本的に事業を見直すことが大切です。

ペーパーレス化が新しい働き方を支える

テレワークの前提条件ともいわれるペーパーレス化。働き方改革が進められるなかで、ペーパーレス化は待ったなしの状況です。一口にペーパーレス化といっても、ツールを導入し、書類をデータ化するだけでなく、業務全体を見直し、適切な仕組みやルールを導入することで、ペーパーレス化を効果的に進められます。ポイントをしっかりおさえ、ペーパーレス化してみてはいかがでしょう。