サテライトオフィスで会社と地方創生の未来を考える〜株式会社あしたのチーム(前編)

リモートワークをもっと当たり前の社会にするために、「リモートワークは普通!」になっている会社を紹介していきます。今回は、サテライトオフィスと本社・支社間でリモートワークしているという「株式会社あしたのチーム」様にお話を伺いました。
 
”次世代に残すべき”企業等を対象としたグランプリ「第三回ホワイト企業アワード」テレワーク部門で大賞を受賞。Iラボ活用と社内制度改革や整備、特にサテライトオフィスの機能が高く評価されています。リモートワークを使った具体的な運営方法や採用、地方創生への取り組みなどを伺いました。

西村 耕世

西村 耕世にしむら こうせい

株式会社あしたのチーム オペレーションセンター マネージャー
大阪で大学・短大・専門学校の広告原稿の制作業務を経験。
2014年11月に徳島県三好市に移住し、株式会社あしたのチームに転職。
柳川 日菜子

柳川 日菜子やながわ ひなこ

株式会社あしたのチーム 営業本部 鯖江ランド
給食会社の栄養士を経て、2018年株式会社あしたのチーム 鯖江ランドに参画。問い合わせ対応やシステム設定、資料作成等、全国の営業拠点のサポート業務を担当。
佐藤 千尋

佐藤 千尋さとう ちひろ

株式会社あしたのチーム マーケティング部
大手ブライダル会社のウェディングプランナーを経て、2015年株式会社あしたのチームに入社。広報、マーケティング、顧客サポートを担当。

 

サテライトオフィスを使って生産性の向上を

まず最初に、御社の事業内容について簡単に教えて頂けますか?

西村

弊社は人事評価制度、お給料を決める仕組みづくりを行なっている会社です。特にクラウドを使って人事評価制度を運用し、制度の構築から運用サポートまでの全てを行なっていることで大変ご好評頂いておりまして、一般企業だけではなく、スポーツ球団や医療機関、市役所などにも導入事例がございます。

あしたのチームさんは、本社が東京、そのほかに支社がいくつかあって、そこからサテライトオフィスを設けていらっしゃるそうですが、サテライトオフィスを最初に置かれた経緯を教えてください。

西村

まだ本社のみで、従業員も10名未満の頃です。当時はマルチタスクで一人の人間が10ある仕事を10していたのですが、インターネット環境さえあればどこでもできる仕事がその10のうちの半分だとすると、その半分を移管することで、本社と支社の人間が残りリソースを営業などへ傾けていける、生産性が上がるのではないかと考えました。

内勤で完結する人と分業することを考えたんですね。

西村

はい。あとは地方創生の観点から、ただ単に会社自体を大きくしていくということだけではなく、首都圏の一極集中型から脱しての雇用を生み、活性化させることに貢献していくことが、会社の今後のあり方に必要になのではないか、という考えに至ったのも理由のひとつです。

地方創生として、現地で優秀な人材を確保しつつやっていこうということで、サテライトオフィスをあえて地方に置くことにしたんですね。今サテライトオフィスはいくつあるんでしょうか。

西村

三好と鯖江と松江の3つです。現在私の勤務する三好ランドは4月に新卒を迎えて8名になりました。

あしたのチーム

サテライトオフィスのひとつ、三好ランド

人材の募集はどのようにかけているんでしょうか?

西村

募集については基本的にはハローワークですね。それ以外新卒に関しては高等学校と連携してやっています。

今新卒は高等学校からだけですか?

西村

限定はしていないのですが、三好市内には現在高等学校までしか教育機関がないのです。県内には専門学校も大学もあるので、働きかけの範囲を去年から広げています。

それぞれのサテライトオフィスのスタッフの方は、オフィスからどのくらいの距離にお住まいなんですか?東京の方だと1時間くらいかけて通勤したりする人も多いですが…。

西村

そうですね。大体自動車通勤なんですが、1時間もかけるようなメンバーはいないですね。本当に「地元」の人間ばかりで構成されています。

採用もオフィスの立ち上げもオンラインで

最初はどんな形で募集がかかっていて応募されたんですか?

柳川

ハローワークで応募しました。これは鯖江市特有かもしれないんですが、事務で働きたい人が多いのですが、実際事務員の募集はすごく少ないんです。その中でもあしたのチームは、「東京や大阪のような都心部と同じスピード感で仕事ができます」というのと、「幅広い業務をお任せします」ということが求人広告に書かれていたので、そこに惹かれて応募しました。

ハローワークから応募して、その後どのような流れで採用に至ったんでしょうか?

柳川

一次二次と面接があったんですけど、どちらもweb会議ツールを使ったものでした。一次が人事担当で、二次面接が社長だったんですけども、私の自宅にパソコンがなくて、スマホから面接をしてもらいました。ところがすごく電波が悪くて、途切れてばかりでお互いに何を喋ってるかがわからない状態で。

一同

(笑)

柳川

どうしようかなと思ったんですけど、その時に鯖江市役所が面接の場所として会議室を提供してくださったんです。そこで市役所ともすごく連携をとっているということがわかって、それなら鯖江市の発展のために私もひと役買えるというか、ちょっとしたお手伝いができるのではないか、というところも魅力に感じました。面接自体は全てweb会議で、直接会わずにやり取りをしました。

採用の瞬間まで全部web上ですか?

柳川

そうですね、全てweb上でした。

柳川さんが立ち上げのメンバーになるんですか?

柳川

私は立ち上げの直後に加わったので、ある程度オフィスが出来上がってから入社しました。立ち上げの方が選考を受けているときは、建物の外側はあったけど中の機材が全然揃ってなくて、求人広告に載っていた地図を頼りに見に行ったときに本当に働けるのか不安になったと言っていました(笑)

一同

(笑)

既存の社員が一時的に異動してくるでもなく、完全に新人だけでの立ち上げだったとおっしゃってましたが…。

柳川

そうですね。

採用されてから、本社とweb会議で繋ぎながら指示を受けて立ち上げていったんですね。

あしたのチーム

柳川

そうですね、入社してからは、西村のいる三好ランドから指示を頂いて仕事していました。最初はやっぱり新人二人だけで不安なこともあるだろうからということで、一日中webで繋ぎっぱなしで。何かあれば声かけあいましょうという形だったんで、そんなに不安はなかったですね。

web会議が全社の大切なコミュニケーションツール

鯖江ランド柳川さんの1日(例)
 
9:00~9:10 全社朝会
9:10~9:30 三好&鯖江MTG ※今日の業務を確認
9:30~10:00 上司との週次面談
10:00~12:00 システム設定 ※わからないところは遠隔で先輩に確認しながら進める
12:00~13:00 ランチコミュニケーション
13:00~15:00 添削対応
15:00~16:00 サテライトオフィス業務改善MTG
16:00~16:30 業務改善提案の提出
16:30~17:45 A社資料作成
17:45~18:00 タスク整理、業務報告

 

三好ランド西村マネージャーの1日(例)
 
8:30~9:00 拠点長MTG
9:00~9:10 全社朝会
9:10~9:30 三好&鯖江MTG ※サテライトオフィスメンバー全体のタスクバランスを確認&調整
9:30~10:00 部下と週次面談
10:00~12:00 拠点からの依頼事項対応
12:00~13:00 ランチ
13:00~16:00 認定会に参加
16:00~17:00 クラウド勉強会に参加
17:00~17:30 面接の対応
17:30~18:00 残務処理、業務報告

 

朝は必ずweb会議ツールで全体を繋いだ朝会があるとお聞きしました。

柳川

そうです、海外も含め全拠点繋いで全員で朝会です。

朝会の内容はどういうものなんですか?

柳川

全社の朝会では、受注報告ですとか、全社的な共有事項を確認しあいます。

資料や数字は全てオンライン上で共有されているんですか?

柳川

はい、そうです。

朝会もいくつか種類があるようにお伺いしたんですけど、最初に拠点長のミーティングがあって、そのあと全社の朝会があって、拠点ごとにミーティングがあると。

西村

拠点長会議は会社の方向性や進捗を役職陣だけで共有する場ですね。その中から全社員に伝えた方がいい内容は、その後の全社の朝会で共有します。細かい内容についてはそこからブラッシュアップさせて拠点ごとのミーティングに落としていくという流れになります。どの情報をどこまで共有するかをきちんと区別しないと、社員を無駄に拘束してしまうことになりますので。

あしたのチーム

そのあと通常業務に入ると思うんですけども、そこでは常時オンラインで繋いでいるんですか?それとも何かあった時に繋いで相談する形ですか?

西村

最近は必要な時に繋ぐという形を取っています。立ち上げの時はお互いに常時声がけできるように繋ぎっぱなしにしていました。

その声がけというのはどういう風にしているんですか?チャットツールで「web会議しましょう」とか?

西村

内線を使ったり、あとはあらかじめスケジュールに打ち合わせの内容は入れておいて、その時間になると繋ぐというのが基本ですね。

通常の会議のようにスケジューリングしておくのが基本で、突発的にweb会議をすることはあるんですか?

西村

そうですね、あります。そういう時はチャットだったり内線で声をかけたり。

じゃあチャットツールとオンライン会議ツールと、電話も併用。拠点間や本社・支社とはそうやって頻繁にコミュニケーションを取っているんですね。

西村

そうです。お昼に繋いで「遠隔ランチ会」という形にすることもありますよ。

あしたのチーム

遠隔ランチ会風景

面白いですね。毎日行なっているんですか?

西村

いや、毎日ではないですね。三好と鯖江は金曜日にしようという動きはあるんですけど、それもその時の業務の状況で。人が少ないと開催しない傾向にあります。東京とサテライトを繋いだり、サテライト同士でやったり、色々ですね。まあほぼ雑談ですけど。

一同

(笑)

西村

普段会えない分、お互いを知るコミュニケーションの一環として機能しています。

 
後編に続く

 

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この記事を書いた人

土佐光見

リモートワーク研究所研究員・ライター。 webショップの企画運営、web制作、ディスクリプションライティングを経験し、フリーランスに。リモートで働く二児の母。趣味は読書、観劇、俳句。