ユーザーと一緒に、リモートで福祉の現場を変えていく〜ケアコラボ株式会社(後編)

ケアコラボ導入を、ICT化へのきっかけにする

導入前と後でお客さんの反応や、仕事の仕方が変わったことってありますか?

岡部

ひとつ紹介したいエピソードがあるんですけども、ケアコラボのホームページにも事例が載ってる宮崎の法人さんで「有限会社聖」さんというところが、「ケアコラボの導入をきっかけに、いろんなICTをやってこうという気持ちになった」って言ってくださったんです。

そこは今まで求人を地元の情報誌だけにしてたんですが、Indeedに替えたら応募がたくさん来るようになったりとか、Facebookページを運営し始めたら利用者さんのご家族から「Facebookページを見て見学に来ました」なんて声が上がったりですとか。

すごいですね。ちなみに業界として、どの程度ICTが浸透してないんでしょうか?

上田

たぶん皆さんFacebookは知ってるけど、それを自分たちの仕事でどう活用できるのかはわからないとか、求人をネットで募集できることを知らないとかですかね。

それぞれの媒体はご存じだったり、テクノロジーの言葉は聞いたことがあると思うんですけど、それがどう自分たちの仕事と生活と結び付いてるのかを知らないことのほうが多いのかな。

ケアコラボ

岡部

そうですね、簡単な指標で言えば、恐らく今ある介護施設の9割ぐらいは紙で記録してますよね。

上田

「紙で記録するもんだ」っていうことだよね。それが当たり前なので、「紙で見せるもんだ、紙に判子をもらうもんだ、紙をファイリングをするんだ」みたいなのは。もうそういうものなんですよ。

病院とかも結構そうですもんね。最近は看護師さんがiPadを持ってる病院もありますけど。

岡部

電子カルテなんかもありますけど、大きい病院だけですからね。

じゃあ、ケアコラボは、導入だけじゃなくて、その辺の全部の意識改革までお手伝いすることに、ひいてはなっているんですね。

岡部

そうですね。ケアコラボのミッション自体が、「ICTを通じて福祉の現場で働く人たちを応援する」なので、あんまりケアコラボにとらわれずに、それこそ上田さんにG Suite(メール、書類作成、オンラインストレージなどがひとつにパッケージされたGoogleの法人向けツール)の導入を手伝ってもらうケースとかもありますし。

上田

そうそう。Googleのメールを入れましょう、グループウェアを活用しましょう、という具合に。

それで実際に現場はすごく変わりますか?ケアコラボをただ使ってるだけじゃなくて、周りのこと整理したり、紙をなくす傾向の会社さんなんかも出て来たりだとか。

岡部

皆さんそうですよ。ケアコラボを入れたら、「次はじゃあ、kintoneを入れて決裁を楽にしようか」とか。

すごい。

岡部

「G Suiteでデータはクラウドに移行しようか」とか、ほんとにいろんなことをやろうと思ってる方が多いです。

じゃあ、もう現場自体を明るくしている感じですね。

岡部

そうですね。いや、楽しいんで。思ったより難しくないし(笑)。

そうですよね。使うのも楽しそう。ケアコラボは利用画面もすごくすっきりしていておしゃれですもんね。

ケアコラボ

上田

ありがとうございます。

岡部

そこも結構こだわったところなんです。「介護 システム」で画像検索すると多分すごく古くさいのが出てくると思うんですけども。

上田

そこから完全に脱却して、「シンプルに」「かっこよく」「シュッとしてる」なんて抽象的な言葉をみんなでもみながら形にしていきました。色にもこだわって、マーケティング理論的なものも合わせて、本当にたくさんの意見をもらって作りましたね。

見た目って大事なことですよね。パッと見た時に、使いやすく見やすく、少し素敵なものだとユーザーもテンション上がりますし。

「お互いを管理しない」社風だからこそできた試行錯誤

皆さん、今はバラバラに働いていらっしゃるんですよね?一応事務所が…。

上田

自由が丘のオフィス(システム開発をしたソニックガーデンのオフィス)ですね、集まるとしたら。

集まることはありますか?

岡部

飲み会(笑)。

リアルな飲み会をやるんですね?

岡部

年に数回ですけど。

それ以外は離れてお仕事してらっしゃるんですね。打ち合わせが定期的にあったり?

岡部

週1回、僕と上田さんで営業ミーティングをして、藤原さんと僕とのミーティングが月水金 、開発ミーティングが週1回。あとはチャットですね。お互いを管理しようとしないというか、干渉しすぎない関係です。

「お互いを管理しない」というスタンスは、信頼関係が成立しているからこそですよね。今のような営業スタイルも、普通の会社だったら受け入れてもらうのに時間がかかったかもしれませんね。このスタイルを確立するまでに何か気付きがありましたか?

岡部

僕が入社した時にはちょっとだけ飛び込み営業もやっていたんです。1日10何件回ったりもしてたんですけど、やっぱり取れないんですよね。「このまま続けてもあかんな」と思ってやめて、ウェブに振り切ったんですけど、そこから、ウェブでやるにはどうすればいいか色々試してみたのは、いい経験になりました。

そうやってる中で、実はみんなSkypeをやったことがなくて、登録の仕方が分からないから嫌がるというのがわかったので、「メールで送ってこういうふうにやろう」とか、どこからサポートすればいいのか、というアイディアが生まれました。

リモートでも、相手に画面共有してもらうと何が分からないかが分かるようになるんです。いつもマウスの操作だと伝わらないので、例えば「ctrl+rを押してください」とか、ショートカットキーの使い方から支援しています。ショートカットキーはすごく喜ばれますね(笑)。

上田

そういう支援って、結局全部が地続きになっているんですもんね。そうやって試行錯誤を続けてここまでやってきた。

岡部

そうですね。それを言い出せる社風というのも大きいかもしれないですけど。

「どこからサポートするか」というお話で思ったんですけど、分かってる方は、「分かってる」ということが当たり前過ぎて、分からない人に対して上からになったり、分からないことを理解してあげられなかったりということがすごく多いと思うんです。

そこを理解するという「優しさ」みたいなものが営業の成功に繋がっているように思います。そういうやり方だとユーザーさんとかなり仲良くなりそうですね。

岡部

そうですね。既存のお客さんとは毎月Skypeで会ってますし、ほんとにお客さんとの距離は近いなって感じますよね。

サポートするということは、別に場所が離れていてもできるんですよね。それは新しい形のリモートワークだと感じます。画期的な営業スタイル。

徹底的に「リモートで」福祉の現場を変えていく

今後の課題や展望はありますか?

上田

ひとつ大きいところとしては、今ケアコラボに集まっている膨大な数のデータを分析して活用したいなと考えています。傾向を分析したり、それを実際のケアにフィードバックしたり、そういうアプローチですね。

あとは、ケアコラボの認知度に関して、今は口コミがほとんどですけど、そこも限りがあるので、もう少し自立したマーケティングや、営業、宣伝を考えていかなければなあと。ひとまず今年は展示会にちょいちょい出展しています。

それは介護関連の展示会に?

上田

そうです。いわゆる介護や医療に特化したエキスポがあるので…具体的に言うと、社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会主催のイベントで企業展示を、名古屋では介護システムに特化した展示会…こちらは10月に大阪で開催されるものへの出展も決まっています。あとは、公益社団法人青森県老人福祉協会主催のイベントの、ICT製品紹介のコーナーでの講演を行なっています。

ケアコラボ

岡部

あと次の仕掛けは、協議会ですね。福祉の現場 ICT活用協議会というのを作りまして、福祉の現場の人たちが、自分たちが主体となってITの製品の情報交換をする場所を提供しています。

例えば僕たちだと「Kintone 評判」とか、「G Suite 評判」でググると思うんですけど、介護関連にはそういうプラットフォーム自体がないんです。

福祉の現場 ICT活用協議会についてはこちら

それを作ってしまおうと。

岡部

そうです。当然僕たちケアコラボも批評にさらされる立場に回るんですけど。

ケアコラボの営業をやってくうちに、地方ではなかなか情報が手に入らないという話を聞いたんです。営業マンはなかなか来ないし、東京のセミナーに行くのも片道4時間かかる、なんて地域もざらにあります。それならオンラインでできれば面白いじゃん、と教えていただきました。

いいですね。

岡部

全国どこからでも参加できるものを作りました。僕たちが事務局としていろんなツールを選んだり企画をお手伝いしたりして、会員同士のオンライン勉強会をやっています。事業者の目線で「このツールは使いやすい、使いにくい」というのをぶっちゃけて語って頂くえげつない内容ですが(笑)。

批評会ですね。

岡部

そうです。ほんとに批評してもらいます。それを全国の会員さんがオンラインで覗けるという形です。これを1~2カ月に1回は繰り返しやっていこうかなと。もうひとつは知恵袋的なものですね。「この製品を入れようと思ってるんですけど、どうですか?」と聞いたら、誰かが「それ、こうですよ」って教えてくれる場所。

ケアコラボ

ベストアンサーを付けられる場所。

岡部

そうですね。ベストアンサーも付けたいな、できれば(笑)。

一同

(笑)

岡部

そんな風に意見交換がライトにできるところが必要かなと思っているんです。プラットフォームを作って、さらにデータベースの構築ですね。「どんなツールを使っているのか」から、補助金や助成金の調査まで。ゆくゆくは行政への政策提言もできるくらいを目指しています。

まだ始めて1カ月ぐらいですけど、口コミだけで10以上の法人さんに集まってもらっているので、これを増やしていって、最終的にはここで『ケアコラボ』も評価されたら嬉しいなと。業界紙などメディアからも取材いただきました。

いいですね。全てリモートで徹底していて、開かれているというのが。

岡部

そうですね。徹底しました。1回「オフラインでもやろうかな」という話があったんです。取材に行くとか。

でも、それで結局地方には取材に行けないってなっちゃうと、この協議会の意味が薄れてしまうのでやめました。年間の利用料だけで、どこにいても最先端の情報が手に入る場所は、オンライン上にしか作れないですから。

お客さんへのアプローチも、お客さんからのアプローチも徹底してリモートにすることで、福祉の現場を活性化させることに貢献しているんですね。それがこれからもっと広がって行くのがとても楽しみです。どうもありがとうございました。

ケアコラボ

このインタビューもリモートで行いました!

 

取材後記

社内のコミュニケーションがリモート、という会社を主に取材してきましたが、お客さんとのやりとりがリモート中心という会社は初めてでした。

その効率の良さはもちろん、ITにあまり触れたことのないお客さんにも積極的に支援して、組織自体を良い方向に変えていく、更には福祉の現場の活性化へも繋げてしまうその手法の素晴らしさは、思わず感動してしまうほどでした。

ますますのご活躍をお祈りいたします!

(リモートワークラボ編集部)

 
最初から読む

 

Remote Work Laboではリモートワークを行なっている企業の記事を作成しています。
取材をご希望される方は以下のボタンより、お気軽にご相談ください。

ご相談はこちら
土佐光見

リモートワーク研究所研究員・ライター。 webショップの企画運営、web制作、ディスクリプションライティングを経験し、フリーランスに。リモートで働く二児の母。趣味は読書、観劇、俳句。

メール通知

メールアドレスを登録しておけば、新しい記事が投稿された際にメールでお知らせします。