ユーザーと一緒に、リモートで福祉の現場を変えていく〜ケアコラボ株式会社(前編)

リモートワークをもっと当たり前の社会にするために、「リモートワークは普通!」になっている会社を紹介していきます。今回は、ケア記録をタイムラインで管理する『ケアコラボ』を開発し、福祉現場のICT化に貢献するケアコラボ株式会社様にお話を伺いました。

 

社員は全員フルリモートで働き、営業やユーザーサポートもすべてリモートで行うという独自のスタイルを確立。「ICTを通じて福祉の現場で働く人たちを応援する」をミッションに、リモートで働くだけでなく、ユーザーにもリモートでアプローチしてもらい、福祉現場のあり方を日々進化させています。そのユニークな働き方や福祉現場のICT化への思いなどについて伺いました。


岡部 拓哉

 

岡部 拓哉おかべ たくや

ケアコラボ株式会社 営業
2013年、医療・介護関連の企業へ入社。病院や老健を主な顧客とし、営業職として関西エリアを担当ののち、企画・マーケティング部門へと転属。Webアプリの設計・開発業務に携わる。2017年に本当に世の中の役に立つシステムの普及がしたいという思いから、ケアコラボ社に入社。新規顧客の対応はもちろん、導入施設の現場の声をプログラマに届けることに注力している。
上田 幸哉

 

上田 幸哉うえだ ゆきや

ケアコラボ株式会社 システムエンジニア
1987年、独立系ソフトハウスに入社。以来約30年をソフトウェア・システム開発中心に、パッケージソフトの販売や導入、ITによる経営企画・業務支援コンサルに携わる。 2014 年ソニックガーデンに入社、ケアコラボの前身となるシステムの開発に携わる。ケアコラボ社の創業メンバーとして参画。

「いわゆる営業」とはちょっと違ったスタイル

まず事業内容と製品概要を教えていただけますか?

上田

『ケアコラボ』という、ケア記録をして共有するためのウェブサービスの開発と運用をやっています。

『ケアコラボ』は主にスマートフォンを使ってケア記録を登録して、それを瞬時にスタッフと共有できるというものになっています。これまでのケア記録の仕組みと違うところは、やはりスタッフが使うために、みんなでケアの記録を活用する、そのためにすぐに共有できるというところですね。

これまでケア記録というものは、主に介護報酬請求のために「どういうことをやったか」を記録するだけで、その記録がご利用者さん本人のケアに活用されにくい状態だったので、そこをなんとかしたいという思いで作りました。

どうもありがとうございます。これまで介護の現場は紙の記録がメインだったと伺っているんですが、それをいきなりスマートフォンに切り替えるというのは、ハードルが高いような気がするんですけども、その辺りはどうなんでしょうか?

ケアコラボ
岡部

紙から切り替えることの難しさというのは、実はそんなにレベルが高いものでもないんです。とにかくスマホを触ることができれば大丈夫なので。

実際、『ケアコラボ』自体もかなりデザインにこだわっていて、ちょっと分かりにくいところがあったらすぐ開発ミーティングに持ち込んで直す、というのを繰り返して作り上げているので、「使い方が分からない」というようなのは、導入の障壁としては少ないですね。

上田

ITという未知のものが、これまで何十年もやってきた現場にふらっと出てくる拒絶反応みたいなものがある場合がありますけどね。

営業はどのように行なっているんですか?

岡部

口コミとweb広告がほとんどです。基本的にこちらから営業はかけていません。

じゃあ、むしろ導入に意欲的な方が多いんですね。

岡部

そうですね。

一番最初に導入された施設さんには、営業をかけたんですか?

上田

福祉楽団という法人さんが最初なんですが、そこの方が現状のケアの方法や記録の共有の方法をもっと良くできないかと思っていらっしゃったんですね。

オランダに『ビュートゾルフ』という訪問介護事業者があるんですが、そこがICTを使って非常に効率よく組織化されている、それに福祉楽団さんが非常に感銘を受けまして、日本でもそういうことをやりたいと。そのケア記録のシステム開発の依頼が始まりです。
開発ヒストリー:『HELPMAN JAPAN』 2017.09.06)

最初はシステムだけの依頼だったんですね。運営なんかは後から…。

上田

そうです。最初は受託開発の依頼としてソニックガーデンに問い合わせが来ました。これを藤原(ソニックガーデン代表取締役副社長、兼、ケアコラボ株式会社代表取締役)が受けまして、開発プロジェクトが発足したんです。

これが出来上がってみたらかなり良いものになった。そこで「全国の法人で、もっと使ってもらうべきだ」ということで、販売しようと。ソニックガーデンはシステムを販売する会社ではないので、改めて『ケアコラボ』を運営・販売する会社を別に作ったんです。

なるほど。そこから口コミでじわじわと広がっていったんですね。

上田

そうですね。福祉楽団の担当者の方から、志を同じくする人たちに声を掛けて紹介してもらいまして、その紹介、そのまた紹介という形で少しずつ広がっていきました。

じゃあ、『ケアコラボ』の会社が立ち上がったときから、足で営業をかけるスタイルというのはほぼなかった。

上田

なかったですね(笑)。

一同

(笑)

リモート営業はICTを「イチから教える」ということ

口コミということは、ある程度どういうものかわかっていて導入しようとする方ばかりですから、障壁自体も確かに少ないですね。ハードルがあるとしたら、先ほどお話にも出ましたが、「精神的なもの」が一番高いハードルになりますか?

岡部

そうですね。「実はそんなに変えたくない」とか、「反対勢力がいて」とか…。

思想の統一ができてない、というような。

岡部

そうですね。課題意識が実は統一できてなくて…というのがほとんどです。

なるほど。それをこちらが解きほぐす感じで介入してくんですか?

ケアコラボ
岡部

できる範囲ではしますね。それこそ一緒に上申用のレポートを作ったりとか、「スマホの購入費用は大体これぐらいです」というExcelを作って一緒に計算をしてあげたりとかはしますね。

上田

トップダウンで来る場合は障壁がないんです。経営層から、「これ、やるぞ」とドーンと落とす場合はスムーズに行きますけど、中間層の方が言い出して、稟議を通さなきゃ、となる時は、上をどう説得するか、そのための仲間をどう作るかという話になりますよね? そういう場合は、岡部君がさっき言ったように一緒にレポートを作ったり、説明会をしたり、デモンストレーションをして知ってもらったりという形になりますね。その辺は他のプロダクトとそんなに変わらないんじゃないかなという気はしてますけど。

岡部

唯一特徴的なのは、デモアカウントを共有して「1週間使ってください」ってそっくり渡してお試しで使ってもらっちゃうところぐらいですかね。

もう実際に使ってもらって?

岡部

それが1番わかりやすいですからね。

そういった説明から何から全てリモートで行なっているんですよね?

岡部

そうですね。リモートで説明するためにはSkypeとか必要じゃないですか。そこから教えたこともあります。

「直接営業に来てくれないんだ」って言われる方もいらっしゃいます?

岡部

物は言いようなんです。介護の世界では今ICTがすごく注目されているので、「ICT化の入り口として、Skypeを使ってやりとりしてみませんか?」と言うと、皆さん「いいですね」と入りやすい。

「これがICTか」と。

岡部

そうです。

上田

「行きません」って言わないことだよね。

岡部

そう、「行きません」じゃないんです。「第一歩としてICTを皆さんとやってるんですけど」と。そうやって理由を話してやってもらってます。「アフターフォローしやすいから」とか、「全国どこでもすぐに対応できます」とか。

実際に足を運ぶこともあるんですか?

岡部

たまにあります。関東圏が主ですが。逆に「どうしても来てくれ」と言われた場合は行きません。そういう方は今後も同じことを言われると思うので。

そういう古来からの営業スタイルを取る会社ではない、と体現するんですね。

岡部

そうですね、それで問題なくやってます。実際リモートが原因で導入に至らないというのは、ほぼありません。

移動がないから、効率よく全国をサポートできる

ケアコラボ

(営業・岡部さんの1日)

ケアコラボ

実際の移動にはかなり時間がかかります

移動に時間を割かなくて良いということは、全国の法人さんを1日で訪問できるということなんですよね。すごく効率が良いように思います。この「ユーザー会」というのは?

岡部

情報の共有会みたいなものです。こちらから「今月はこう開発しました。次はこういうことを考えてます。皆さんどうですか?」という内容で、全国からSkypeで集まってもらって、月に数回開催しています。

なるほど、そのときにユーザー側からも「ちょっとこういうことで困ってるよ」とか、「こういうのがあったほうがいいな」みたいな意見をもらったりも?

上田

そうですね、あとはリリースした機能のフィードバックをもらうことも多いですね。

リモートの営業をスムーズに行うために、コミュニケーションの面で気を付けてることはありますか?

上田

とにかく一番最初の設定をちゃんと教えてあげることですね。あとはインフラが整っていない方が多いので、ヘッドセットをひとつAmazonから送ってしまいます。

一同

(笑)

上田

要するに、リモートの使い方から、テレビ会議の使い方からちゃんと教えてあげる。

岡部

そうですね。SkypeのID登録とインストールから。でも1回やってしまえば、掛かってきた電話を取るだけなんで、それ以上教えることはないんですけども(笑)。

一同

(笑)

上田

やっぱり皆さん、やってみたらわりと簡単だったというのが、正直なとこなんでしょうね。

岡部

そうでしょうね(笑)。

じゃあ、(ICTが)初めてでもそんなにネガティブな反応っていうのはないんですね。

岡部

ないですね。最初に繋がる時、大体後ろに人がいっぱい来ます。「つながってる、東京と!」って喜んでくれますし。

後編に続く

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この記事を書いた人

土佐光見

リモートワーク研究所研究員・ライター。 webショップの企画運営、web制作、ディスクリプションライティングを経験し、フリーランスに。リモートで働く二児の母。趣味は読書、観劇、俳句。