セキュリティ会社がリモートワークを導入したら〜株式会社FFRI(後編)

自分の状況に合わせて、リモートのスタイルは柔軟に

萩原

特に縛りがあるわけではないで。エンジニアはフルリモートですけども、自宅の環境が整わないとか、業務で会社に来る必要があるとかっていう場合には会社に出社してますし、管理部門でも、必要があれば会社へ出てきて業務をしていて、結果的に週の半分くらいは出社していますが…。

北村

製品開発部内は「みんなリモートでやりましょうね」と言ってますけど、家に通信回線がないので毎日出社します、というメンバーもいます。
ただ、出社したメンバーの中だけでコミュニケーションをされちゃうと、周りのメンバーに伝わらなくなってしまうので、仕事に関するやりとりは「できるだけSlack上で、オープンな場所でチャットするようにしましょう」としています。そこさえ整っていれば、家でもオフィスでも良い、ということで。

それはリモートワーク にとって、すごく大事なことですよね。

北村

そうですね。

みなさん基本的に自宅でリモートワークされますか?外でお仕事される日もあります?

塩田

僕はカフェとか、外ではやったことはないですね。

北村さんはいかがです?

北村

僕は2回ぐらいやったことがありますね。物珍しさで(笑)。あとは、子どもが家に友達を連れてきたいんだけど、パパが家で仕事をしてるとちょっとやりづらい、と言われて午後だけカフェに行くっていうのをやったりして。

北村さんも自宅での作業が圧倒的に多いそう

なるほど。柔軟に対応を(笑)。

北村

柔軟に(笑)。

萩原さんはリモートワークをされるときは大体おうちですか?

萩原

大体家ですね。実家で父親が1人暮らしなんで、心配な日は実家で1日リモートワークっていうことも最近は多くなってきました。カフェとかだとやっぱり1日仕事をするのにはちょっと身体的につらいですよね。

そうですね。椅子が固いですしね。

萩原

ええ。

北村

トイレとか行きづらいんですよね。パソコンを置きっぱなしでは行けないし、ワイヤーロックするかっていうと、それもちょっと大げさなので…。
あと、温泉に行くとか、全国のスーパー銭湯を巡りながら仕事をするとか、憧れはあるんですが。

今後の目標の1つとして(笑)。

北村

そうですね。

通勤時間がなくなったら、家族や趣味の時間が持てるように

運用してみて良かった点、改善すべき点、ありますか?

塩田

通勤がなくなったのが、やっぱり1番僕は楽です。

東京の通勤電車は混みますもんね。

塩田

そうですね。自宅から会社まで1時間半ぐらいかかりますので。往復で3時間。特に帰りだと山手線が混みますので、ぎゅうぎゅうでそれだけで疲れます。始業は10時なんですけど、10時に間に合うように行くのに、朝起きて準備して…っていう時間を、仕事だったり自分の趣味のや休息に割り当てられるのは良かったですね。

通勤時間の無駄をなくすところと、あとは家族の時間を持てるとか、家事と両立できるみたいなメリットが大きいですか?

北村

私の家は子どもが2人いて、上の子は小学校4年生なんです。学校で「友達とけんかした」なんて言って帰ってくるなり泣き出すようなこともあります。そういう話を聞いたりできるのがありがたいことだなと思いますね。宿題をやっているところも毎日見られるので、どこがわかってないな、とか把握できますし。

そうですよね。萩原さんは離れた場所の部下をまとめつつのお仕事になるかと思うんですが、良かったこと、困ったこと、何かありますか?

萩原さんのホームオフィス。事務所に出勤することも多い。
萩原

離れていても、チャットなり、通話なりで話ができるので、その辺りはほとんど困らないですね。チャットのおかげで、打つキーの数が多くなりましたね(笑)。

数が(笑)。

萩原

たくさんやりとりをしなきゃいけないんで。打つ回数が断然多くなりました。事務所で一緒にいればちょっと話して終わることでも、チャットだと結構時間ややりとりが多くかかったりします。なるべく通話で話したほうが楽かもしれないと思ってます、今は。

ちょっと用があったら、すぐウェブ会議を呼び掛けるみたいな文化でもいいかなという。

萩原

そうですね。お互いがPCの前にいて、こういう作業をやってるはずというのが見えてるとやりやすいんですけど、うちの部だと、ちょっと席を外して、あっちの機械をいじってるとかいうことも多いので、浸透するかどうか分からないですけども。

北村

そうですね。萩原さんはいつも席にいないです。

(一同笑)

コミュニケーションの方法やスタイルは、個々の問題かもしれないですけど、それぞれにフィットするようにうまく改善していくことは、リモートワークの永遠の課題かもしれないですね。

「紙と電話の文化」の薄さがリモートワークへのハードルを下げた

構築のときに回線のこと、通信の速度ですとか、みんなにどれぐらい提供するのかっていうことで、すごく苦労なされたとお話し頂いたんですけど、そこが一番の苦労でしたか?

萩原

うちの会社はセキュリティの会社なのでマルウェア(不正かつ有害に動作させる意図で作成された、悪意のあるソフトウェアや悪質なコードの総称)を扱うんですね。それに関するテストなんかを、私たちがいつも使ってるファイルサーバーとか、営業のパソコンがつながってるネットワークでやられちゃうと危ないので、マルウェア専用のネットワークを物理的に分けているんです。ファイルサーバーには、リモートからでもVPN(Virtual Private Network=インターネット上に設けられた、セキュリティ上の安全な経路。仮想専用線)で入れるようになっていますが、マルウェアのネットワークは物理的に切り離されてるので、リモートでつなぐことができない。そこに入る仕組みを構築してもらったのが大変でしたね。
あと、web会議用に社員にヘッドセットを配ったんですけど、その故障率が高くてひどい目に遭いました。

(笑)

萩原

まだまだありますよ。VPNのライセンス費用が莫大になってしまうのをどうするか、とか、管理職や営業がつかまりやすいように、スマートフォンを配ったりですとか、決裁をどこでも取りやすいワークフローを用意したりですとか…内線をスマートフォンで取れるようにするか、という話も持ち上がりましたね。

それは実際はどうなったんですか?

萩原

結局やめました。基本的に会社にかかってきた電話には、「折り返します」として、Slackで本人に連絡を徹底する、ということで回っています。

なるほど。今、思ったよりも電話文化が重くなかったということですね。

萩原

そうですね。もともとエンジニアが多い会社ですし。「電話してる暇があったら開発しなさい」という文化があるので、リモートワークの敷居が下がってたんだろうなと思います。

確かに電話を切り離すっていうのは、かなり大きい課題かもしれないですね。

萩原

ええ。なので、そういう(内線をスマートフォンに転送する)サービスを利用しなきゃいけないところも普通の会社だと多いのかもしれないですね。
リモートワークして良かったのは、「気象条件の悪いときに出勤しなくてもいいところ」ですね。天候に左右されないというのは大きいです。

雪やら台風やらだと通勤は困難になりますよね。特に帰宅問題が。

萩原

それくらいかな。もともと社内に書類手続きの文化がすごく少なかったので、その点ではリモートワークが導入しやすかったですね。本当に一部の経理書類くらいです。塩田さんも北村さんも書類を提出したことはほとんどないですよね。

オフィス入り口
塩田

そうですね。経理以外はないですね。

その土台があったというのは大きいですね。それにしても、お伺いしていると、リモートワークをある程度の大きさの会社で導入しようとすると、お金がかかりますね。

萩原

たぶん技術力みたいなところとのトレードオフなんだと思います。働く人たちの技術力やリテラシーが高ければ、自宅の回線はどうするんだみたいな話もスムーズになると思いますし、リモートワークに必要なコミュニケーションツールの導入や、回線の増強、VPNがどうとかっていうところも全部外注しようと思うと、相当な金額になると思うんですよね。

そうですね。

萩原

今回うちではその辺り全部内製でやってますし、代わりに広いオフィスが不要になって将来賃料を節約できるという考えがあれば、たぶん元は取れるんじゃないですかね。

実際に顔を合わせてのコミュニケーションも大切

リモートワーク導入にあたって「大事だな」と思ったことは何かありますか?

北村

働く側から言うと、面と向かってコミュニケーションできる機会というのはすごく減るので、自分の思ってることをいかに分かりやすく伝えるか、文字にできるか、そういったところがすごく重要になってくると思います。例えば、作らなきゃいけないものがうまくいかないとか、何かがおかしいんだけど、どうしてかが分からないとか、自分が困っているということを文字にして伝えることが非常に重要です。リモートワークは、すごく仕事がしやすくなるんですけれども、「報告」「連絡」「相談」をより高いレベルに持ってくような努力をしないと、むしろやりづらくなってしまうかもしれないと思います。

塩田

北村さんと同じようなことですが、人間関係の構築に高いレベルが要求されるんだと思います。リモートでテレビ電話だけじゃなくて、face to faceで一緒に飲み会だったり、仕事じゃない話をしたりしてっていうのももちろん重要じゃないのかなと思っています。

北村

そうですね。

飲み会をやることはあるんですか?

塩田

あります。

北村

毎月やってますね(笑)。

じゃあ、画面越しじゃないコミュニケーションがちゃんとあって、人間関係ができてるんですね。

塩田

「話しやすい環境」を作ることとか、ある程度の人となりを知っておくとか、そういうことの重要性が際立つんだな、と思っています。

リモートだからこそ、ですね。

取材後記

大きな会社でここまで柔軟にリモートワークを取り入れるのはかなり苦心されたのではないかと思います。リアルなコミュニケーションも大切にしつつ、チームが信頼を育てているのが伝わってきました。導入する側の苦労など具体的なお話が非常に興味深かったです。
ますますのご発展をお祈りいたします!

(リモートワークラボ編集部)

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この記事を書いた人

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土佐光見

リモートワーク研究所研究員・ライター。 webショップの企画運営、web制作、ディスクリプションライティングを経験し、フリーランスに。リモートで働く二児の母。趣味は読書、観劇、俳句。