テレワークにはどんなシステムが必要?導入でよくある課題とは

最近、よく耳にする「テレワーク」という言葉。

リモートワーク、在宅ワークなど、似たような他の言葉も登場し、分かるような分からないような、そういう印象を持っている方が大半だと思います。

この記事では、テレワークとはそもそもどういう意味を表す言葉なのか、テレワークのメリット、課題点について解説いたします。

テレワークとは?

まず、テレワークという言葉の定義について。

テレワークとは、tele(遠隔)work(働く)をかけ合わせた造語で、一般社団法人日本テレワーク協会によれば、「情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」のことを指します。

雇用形態や勤務地によって、「リモートワーク」、「在宅ワーク」、「在宅勤務」、「SOHO」という言葉でさらに細かく定義されます。また平成28年度には、働き方改革のうちの大きな目玉政策として、2020年までにテレワーク導入企業を2012年から3倍に増加、テレワーカー労働者数を10%以上にする「テレワーク推進の計画」が発表されました。

また、厚生労働省の時間外労働等改善助成金(テレワークコース)、東京都のテレワーク活用・働く女性応援助成金、総務省のふるさとテレワークなど、テレワーク導入に関する支援制度が着々と増えており、より低コストで導入しやすい環境になっています。

テレワークの分類

テレワークの種類 テレワークは広義的な言葉で、導入を進めようと思っても、なかなか具体的なイメージしにくいです。

そこで、テレワークを「テレワーク端末への電子データの保存の有無」「オフィスで利用する端末との関係」「クラウドサービスの利用の有無」の切り口で6つに分類しました。

  • 会社PC持ち帰り方式・・・従来のテレワークの方法。会社のPCを持ち帰る方式です。
  • リモートデスクトップ方式・・・オフィスに設置されたPCなどのデスクトップ環境をリモートの端末から遠隔で操作する方式。
  • 仮想デスクトップ方式・・・リモートデスクトップ方式とほぼ同様ですが、仮想デスクトップ基盤(VDI)のため、オフィス側の端末が必要ありません。
  • クラウド型アプリ方式 ・・・クラウドサーバー上のアプリケーションを使い、作業をする方式です。GoogleドライブやDropBoxが良い例です。
  • セキュアブラウザ方式・・・クラウド型アプリ方式とほぼ同様ですが、ハッキング、データ流出などを防止するため、一部データ保存やダウンロードを制限する方式。
  • アプリケーションラッピング方式・・・テレワーク端末内に、ローカルの環境から独立した仮想的な環境(コンテナ)を設けて、その中でテレワーク業務用のアプリケーションを動作させる方式。

過去記事でご紹介しています。詳しくは、こちらをご参照ください。

テレワークのメリットとは?

テレワークを導入すると、導入企業にどのようなメリットがあるのでしょうか?

大きく分けて4つのメリットがあります。

オフィスの維持費削減

社員がオフィスに出勤することもなくなるため、光熱費や通信費といった固定費が削減できます。リース機器の維持管理費も不要になります。

生産性の向上

社員が自分の体調や気分に合わせて業務をすることができます。

内線の取次や問い合わせの電話に出ることがなくなり、各自業務に集中でき、生産性が向上します。

離職率の低下

在宅勤務が可能になるので、出勤が難しい子育て中のママさん、病気療養中の人も、引き続き自分の可能な範囲で業務に携わることができ、やむなく会社を退職する人の割合が減ります。

多様な人材の確保

場所の制約がなくなるため、フリーランスでフレキシブルにプロジェクトに関わりたい、育児中だけど合間の時間に仕事をしたい、パートナーの都合で遠方にいるけど会社に関わりたい方を採用することができます。

テレワークで必要なシステム・ツールは?

ICTツールを活用して、どれだけ社外でも職場と同様の環境を整備できるかが肝です。ここでは、テレワークでよく用いられるシステム・ツールをカテゴリごとにご紹介します。

勤務管理/勤怠管理

分単位でテレワーク社員の勤務状況を確認する必要はありませんが、労働時間の管理、作業状況の確認など、最低限の管理は必要です。

連携して自動で社会保険や雇用保険などの書類を作成するもの、タイムカードの打刻がリアルタイムで把握できるもの、給与計算を自動計算するもの、中には従業員のPCのスクリーンショットをランダムに記録し勤務状況をモニタリングして管理するものなど、種類はさまざまで多岐にわたります。

例:人事労務 freee、F-Chair+(エフチェアプラス)、ジョブカン、Focus U

チャット・Web会議

会社で発生するコミュニケーションの数や深さで選びましょう。

例えば、Zoomであれば無料版でも100名まで同時会議がOK、有料版だと追加料金課金で500名まで、多人数のミーティングする会社には最適です。

Slackはプロジェクトごとにチャンネルを作成できるため、プロジェクトが多い企業などにはうってつけです。

例:ChatWork、Skype、Slack

クラウドサービス

クラウドサービスは、テレワークをするには一番外せないシステム・ツールの一つです。

社外PCから簡単に社外秘のデータにもアクセスできてしまうため、情報漏えい、ハッキングのリスクもあります。

セキュリティブロック、アクセス制限などの設定が行えるものを選びましょう。

例:Googleドライブ、SkyDrive、Dropbox

内線通話機能とPBX機能

PBXとは、Private Branches Exchangerのことで、「構内交換機」と訳されます。

「クラウドPBX」は、内線同士の通話や転送をクラウド上で行うことができるシステム・ツールです。

中には、スマホで内線通話ができるものもあります。社内における電話の取次が不要になり、業務効率化します。

例:オフィスリンク、INNOVERA PBX、ひかりクラウドPBX

プロジェクト管理

テレワークでは、社員がどのような案件を担当し作業をしているか、ひと目で分かるようなプロジェクト管理システム・ツールが必要不可欠です。

プロジェクト管理ツールの中でも、タスク管理に特化したもの、工数管理に特化したものなど様々種類があるので、用途に応じて比較・検討しましょう。

例:jooto、Basecamp

テレワークの導入でよくある課題

情報セキュリティの強化

テレワークは、社員がフレキシブルに働けて生産性がアップする反面、情報流出やハッキングなどの情報セキュリティ面でのリスクがあります。

上で紹介した「セキュアブラウザ方式」や「アプリケーションラッピング方式」は、セキュリティ強度が高いですが、それでも外出先のFree Wi-Fiから情報が流出したり、不注意によってウィルス感染するリスクは排除できません。

システムに頼らず、ミーティングなどで情報リテラシーやセキュリティの重要性について定期的に啓蒙をすることが大切です。

テレワークの職務環境の整備

テレワークは導入すれば終わりではありません。

テレワークで働いても、オフィスで働くのと同等の職場環境が提供できることが重要です。

「慣れるまで大変だから、オフィス出勤でいい」「在宅勤務を続けると、人間関係に影響が出そう」と、テレワークにネガティブな印象を持つ方も多いそうです。

テレワークでもオフィスと同等のスピードやクオリティで働けるよう、制度やシステムを整えるのはもちろん、テレワークで働くメリットや目的について継続的に伝えることが重要です。

評価制度の検討

人事や上司の見えない所で働くため、従来の人事評価制度では正当な評価ができないケースが出てきます。

通り一辺倒の評価制度ではなく、その人の職場環境や成果に見合ったフレキシブルな評価制度の設計も組み直す必要があります。

まとめ

総務省の「平成29年通信利用動向調査」によれば、テレワークの導入率は13.9%とまだまだ浸透していません。しかし、今回ご紹介したように、テレワークの導入には企業側にとって多くのメリットがあります。また、テレワーク推進に関する助成金・補助金制度や、テレワーク導入に活用できる低コストなICTシステムも徐々に増えてきています。これを機会に、ぜひテレワークの導入を検討してみてください。