士業でもリモートワークできる!日本全国に散らばる社労士チームの働き方~綜合経営労務センター

リモートワークをもっと当たり前の社会にするために、「リモートワークは普通!」になっている会社を紹介していきます。今回は、士業としては珍しく、リモートチームで仕事を進めている綜合経営労務センターの井上様にお話をお聞きしました。

オフィスのある社労士事務所に勤務されていた井上さんですが、2019年4月に独立。その後、別事務所のスタッフの移籍を受け入れることになりましたが、遠方に住むスタッフも多く、以前から取り組みたかったリモートワークを導入。リモートワークを進める士業の先駆けとして、仕事の進め方や工夫、コミュニケーションの取り方などについてお話を伺いました。


井上 敦史

井上 敦史いのうえ あつし

社会保険労務士法人 綜合経営労務センター 東京オフィス 代表社員
2001年に社会保険労務士試験合格。人材サービスのコンサルティング営業を経て、2010年に社会保険労務士として開業。社員研修に関する助成金を中心に、約20億円のサポート実績がある。 2019年11月から在宅勤務体制をスタートし、南は鹿児島から、西は千葉まで全国で10人体制の 法人を運営している。

鹿児島、長野、東京、千葉、埼玉に住む、計8人のチーム

士業でリモートワークをされている方は少ない印象ですが、まずはお仕事や、社内の役割分担などをお聞かせください。

井上

社労士をしています。業務内容としては、入退社の手続きや給与計算がベースにあり、他には入社や研修、整備などに対する助成金の申請代行をしています。体制としては私と、3名の営業、4名の事務、計8名のチームで仕事をしています。

リモートワークを導入されたのはいつ頃ですか?

井上

2019年4月に独立をして事務所を開き、当時は一人で仕事をしていました。しばらくして営業から紹介された社労士の先生から従業員の移籍を打診され、10月に移籍を引き受ける形で今のようなチーム体制になり、リモートワークを開始しました。

皆さんは、東京にお住まいですか?

井上

僕は東京です。営業は千葉と長野、事務は鹿児島、東京、埼玉と居住地はバラバラですね。

先ほど10月に移籍を受け入れたというお話がありました。その時点でメンバーの方は長野や鹿児島といった離れた地域に在住されていたので、「リモートワークでやって行こう」という方針がないと移籍を受け入れること自体難しかったと思うのですが、順番としてはリモートワークしようと決めて、その後に移籍を受け入れるという意思を固めたのですか?

井上

移籍の話を聞く前から、営業スタッフとの提携が決まっていました。これから案件が多くなることが分かっていたので、案件ありきで移籍の話をお受けしました。移籍してきてくれた鹿児島と長野のメンバーは既にリモートワークをしていましたし、僕自身リモートワークをしたいと以前から考えていたので、リモートワーク導入に関してすごく検討したわけではないんです。

リモートワークの導入に関しては躊躇はなかったとのことですが、導入後の課題はありますか?

井上

士業として印鑑を押す書類がどうしても出てきます。書類は僕の自宅に郵送で届くのですが、それをスキャンして、事務担当にデータで送ります。その作業が少し面倒ですね。

リモートワークでも、共に学び合い、チームとして成長できる

井上さんは東京、他のスタッフの方は鹿児島や長野からお仕事されているとのことですが、普段のコミュニケーションはどのようにとられていますか?

井上

軽いやりとりについてはRemotty*のチャット機能、残しておく必要のあるやりとりについてはRemottyの掲示板。急ぎの用事は電話がかかってきますね。 (*Remottyとは、「リモートワークのためのバーチャルオフィス」を提供してくれるクラウドサービスです)

リモートワークに役立つツールが増えてきましたが、その中からRemottyを選ばれたのはなぜですか?

井上

前職でRemottyのゲスト機能を使った経験があったからです。リモートワークを始めるにあたって、フランクなコミュニケーションができないというところに課題が出てくるのではと危惧していました。しかしRemottyを導入したことで、「あの書類どこにありますか?」という軽い話題であったり、マスクをしている顔が映るので「風邪ですか?」というような会話であったり、本当に距離を感じさせないコミュニケーションが取れていると思います。 また、僕は外出していることも多いのでオンタイムで会話に入れないことも多いのですが、Remottyではタイムラインにすべての会話が記録されていくので、後から雰囲気を知ることができたり、僕自身の価値感を伝えていく場としても役立っていますね。

タイムラインにたくさんの量の会話が残されているということは、皆さんマメにやり取りされているのですね 。その辺りは、井上さんがスタッフの皆さんに働きかけたりされたのですか?

井上

そうですね。Remottyを導入した当初はまだFacebookメッセンジャーやチャットワーク、メールなど、ツールが乱立している状態でした。なのでRemottyではないところで仕事上の許可を求められたりするケースもありましたが、「判断の根拠などを全員に知ってほしいからRemottyでやり取りしよう」と誘導していました。

なるほど。クローズな場ではなくRemottyというオープンな場でやりとりをすることは、スタッフ全員へのメッセージにもなりますよね。

井上

そうですね。あとはメッセンジャーでやりとりした内容をRemottyに転記してもらうよう頼んだりしていたので、コミュニケーションのスピードを大切にするためにも、Remottyにまとめましょうという誘導は意識していました。 リモートワークということで最初はスタッフたちも不安を感じていたのではないかと思うのですが、Remottyを導入したことで、チームとしての一体感が強くなった感じがしています。Remottyが入る前は、やはり遠方のスタッフは疎外感を感じていたようですし、それだけが原因ではないかもしれませんが、大阪のスタッフが一人退職してしまったこともありました。

Remottyがコミュニケーションの促進に役立っているのですね。

井上

そうですね。感動したのは、助成金の申請を進めるために僕とお客様のコミュニケーションを見ていたスタッフが、「そういう状況だったら助成金このコースも申請できるんじゃないですか?」というアドバイスをくれたときです。リモートワークでもスタッフが成長してくれて、僕の力だけじゃなく全員がチームとなってお客様の役に立てるようになったことがすごいなと思いました。

リモートでも、みんな共通のものを見て触れ合える環境にあると、離れているのに学び合い、一体感が生まれるますし、離れているからこそ成長に対してより感動が生まれますよね。

ツールを工夫することで、お客様にスタッフが遠方にいることを感じさせない

リモートワークでの具体的なお仕事の進め方について教えて頂けますか?

井上

助成金の申請代行を例にとると、まずは営業が案件を獲得してきます。以前は最初の契約のためにお客様のところへ僕が足を運んでいましたが、大変だし効率も悪いので、現在はクラウドサインを利用して、オンラインで契約を結んでいます。 その後1回目の打ち合わせをZoomで行います。こちらも以前は僕とお客様だけで進めて、スタッフには依頼内容をテキストにまとめたものをRemottyで共有していましたが、現在では打ち合わせの段階からスタッフにも参加してもらい、テキストでやりとりする手間を減らすことができました。

日々、効率化のための工夫されていらっしゃるのですね。 鹿児島の事務スタッフの方が東京のお客様を担当されたり、長野の営業の方が開拓した長野のお客様を埼玉の事務スタッフの方が担当されたりする上で、遠方からのリモートワークであることは問題にはならないですか?

井上

現状、スタッフの居住地をお客様に積極的にお伝えしてはいません。電話はモバビジを契約しており、鹿児島のスタッフのスマートフォンであっても、会社の電話番号である03から始まる番号で電話を受けたり掛けたりすることができます。お客様とは電話とメールでのやりとりが多いので、お客様はスタッフが鹿児島にいるとは恐らく思いもしないはずです。 リモートワークであることで問題になるかもしれない点で言えば、郵送物の受取りと、来客時にお会いする場所くらいですね。

営業の方とはどのようにコミュニケーションをとっていらっしゃますか?

井上

営業スタッフはあまりパソコンが得意でないこともあり、システムに時間を割くよりも、得意な営業に精を出してほしいという思いから、Remottyはほとんど利用していません。電話かメール、かろうじてチャットワークですね。

士業は本来リモートワークがしやすい仕事

リモートワークしてもらうということで、スタッフの皆さんに提供している待遇などはありますか?

井上

仕事に必要なものはこちらで買いますよ、という話はしています。実際に購入したのは Web会議をするためのフロントカメラや、プリンター、スキャナー、パソコンなどですね。 小さなことですが、関東にいるスタッフは集まって忘年会などできますが、遠方のスタッフには鳥の水炊きセットを送ったりもしています。オンラインでの飲み会も開催していますが、とても新鮮で面白いですね。飲み会の後すぐに寝られるのも良いです(笑)

スタッフの皆さんはリモートワークについて高評価ですか?

井上

そうですね。フレックスにしているので、お子さんの三者面談で短時間だけ抜けたりと、上手く活用してもらえているのではないでしょうか。

確かに面談の30分のために午後休を取らなければいけないのは、お互いにもったいないですよね。

井上

採用の面でもリモートワークには非常に可能性を感じています。子育てがひと段落した方が、地元にいるまま働けますよね。

具体的に採用したい人材がおありですか?

井上

就業規則のコンサルティングができる有資格者の方や、社労士事務所での業務経験はなくとも、勘が良くて事務仕事をある程度主導的にできる方に仲間になってほしいですね。 今後、社労士の有資格者がコンサルタント的なことをしながら、事務スタッフのリーダーに進捗確認をしているというような組織をイメージしています。事務はリーダーを中心に3人ユニットで、今現場にいるスタッフは全員がリーダーになる資質があると思っているので、アシスタントをしてくれる方を募集しています。エクセルやワードの使い方から教えるにはリモートはあまり向いていない気がするので、ある程度経験がある方だと嬉しいです。

以前社労士事務所で働いていた地方の方など、希望する方は多そうですね。

井上

リモートワークをしている士業はそれほど多くはないと思うので、希望してくださる方が多いといいのですが。士業の場合、やはりセキュリティ面であったり、イメージでリモートワークのハードルが高いと感じてしまいがちです。ですがセキュリティソフトなどの対策をすることで、士業は本来リモートワークがしやすい仕事だと思います。

井上さんが先駆けとなって、これから士業の方のリモートワークが増えていくかもしれませんね。今日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

この記事を書いた人

岡田 由美子
岡田 由美子

早稲田大学第一文学部在学中より、物書きを目指してひたすらに原稿用紙に文字を埋める日々を過ごす。卒業後、EC系のベンチャーで新規事業の開発に取り組む。現在は二児の育児の傍ら、インタビュー記事や、商品紹介のキャッチなど、また文字の世界へと戻る。