意外な落とし穴!?テレワークに潜む「サイレントうつ」の予防策

先日2回目の緊急事態宣言が発令されましたが、1回目より「テレワーク」という働き方がある程度定着している企業様も多いのではないでしょうか。

あるアンケートではテレワークを認める企業(原則テレワークもしくはテレワーク推奨と、希望に応じてテレワーク可との合計)は、緊急事態宣言が発出された場合は71.1%、新型コロナ感染リスクがある場合は60.1%、新型コロナ収束後の場合は44.8%となっています。

参照:https://rc.persol-group.co.jp/news/202101041120.html

このアンケートからも今後、「テレワーク」という働き方が企業のキーポイントとなることが分かります。

意外と知られていない「サイレントうつ」という病気

「テレワーク」という働き方には「場所や時間に縛られず働ける」「通期時間がないので、ストレスが減る」など様々なメリットがあります。

しかし、それと同時にテレワークならではの不調があります。あるアンケートでは「リモートワーク前と後での健康面の変化はありましたか」という質問に対し、52.17%の方が「悪い」と答えていました。

参照:https://infogram.com/–1h706ek1wem565y

その中でも皆さんに知っておいていただきたいワードは「サイレントうつ」です。これはオフィスとは異なり、自宅という周囲に人が少ない状態で行うテレワークで起こる、中々気付きにくい病気です。

下記のような方に症状が見られる傾向にあります。

「サイレントうつ」を引き起こす心理・環境
◆在宅で仕事をすることで、長時間勤務になった
◆誰ともコミュニケーションをとらず、孤独感を感じている
◆仕事による極度のストレスが掛かっている人
◆新型コロナウィルスを過敏に意識することによるストレス
◆突然のニューノーマルへの移行によって心がついてこない

厚生労働省 平成29年の労働安全衛生調査によると、下記の図の通りメンタルヘルス不調により休職する割合は全体で0.4%、業種別では情報通信業や金融業が1.2%で、情報通信業や金融業のうつ発症リスクは全社平均の3倍と非常に高くなっています。一概には言えませんが、IT系はパソコンに向かう時間が長かったり、金融系などは他業種以上に、ストレスフルな環境にある証拠かもしれません。

参照: https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/h29-46-50_kekka-gaiyo01.pdf

企業の対策としては、「テレワークが向かない人もいる」ということを考慮しながら、会社としての働き方の指針や組織としてのコミュニケーションの方法を決定していくと良いと思います。

企業としてできる「サイレントうつ」の予防策

今回は企業としてできる2つのポイント・施策をお伝えします。

どの施策にも共通することは「孤独感を感じさせない組織づくり」「様々な施策の中で、社員が自分に合った方法で、心理的な安全性を確保する」ということです。

1.メンバーが自分から輪に入っていく環境づくり

◆オンラインコミュニティを創る

ニットでは、業務に関するもの、業務外に関するもの(趣味、雑談など)の27個のコミュニティがあります。いわゆる、オンライン上のサークル活動みたいなものです。

自分の好きなコミュニティで業務以外の人間関係を構築することで、心理的安全性を確保することができます。

また、趣味などに興味を持つことで、仕事の息抜きに、リフレッシュにもなります。

当社ではコミュニティを通じて、仕事で一緒になった際にスムーズにコミュニケーションがとれるようになったり、コミュニティから新たな仕事が生まれたり、組織の活性化に繋がっています。

◆オンラインイベントの定期的な開催

ニットは世界33か国400名のメンバーがいるため、対面で全員が参加することは現実的に厳しいです。しかし、オンラインイベントであれば世界中のメンバーが参加することが可能です。

①オンラインイベント実施例(入社式・お花見・忘年会・バーチャル世界一周旅行など)

メンバー同士のコミュニケーションを重視したイベントを企画しています。季節ごとに、時にはクライアント様などを巻き込みながらイベントを開催しています。

▼オンライン花見の様子

②社長から定期的にメッセージをお届けする

節目節目で全社会議を実施し、社長から直接メンバーにメッセージを届けることで、会社への帰属感・一体感を創出しています。

2.会社からの働きかけることで孤独感をなくす環境づくり

当社では入社時に必ず人材育成担当者がつきます。主な目的は「新しく入った人が働きやすいようにサポートする」ことです。主には下記のことを実施しています。

①入社時に1on1、その後3か月は毎月1回実施

「何が分からないか分からない」「誰に聞いたら良いか分からない」が入社時の状況です。1on1で心理的安全性を確保しつつ、メンバーの不安を軽減しています。

②毎週オンラインチャットでメッセージを発信

重要なお知らせのリマインドや1週間のできごとを発信しています。事務連絡だけではなく、絵文字を使いながら語りかけるような口調でお知らせすることがポイントです。

自分でできる「サイレントうつ」の予防策

上記の企業の施策に頼るだけでなく、自分自身の状態を管理することも大切です。「サイレントうつ」を防ぐ5つのセルフコントロールをご紹介します。

①不調になったときの相談先一覧を作っておく。

 何かあった際はひとりで抱え込まず、速やかに報・連・相を行う。

②仕事とプライベートをきっちりと分ける。

 休憩時間を定期的にとり、メリハリをつけた生活にする。

③就業時間以外は会社のパソコンを見ないなど、物理的な工夫をする。

 緊急時以外の連絡には終業時間外に対応しない癖をつける。

④休む時間や休日をカレンダー機能に入れておき、メンバーに共有する。

⑤自分の仕事を可視化し、TO DOをオープンにする。

 仕事のキャパシティやスケジュールをメンバーに把握と共有する。

参照:https://www.rodina.co.jp/columns/007/

テレワークでは、相手のスケジュールに合わせると結果的に長時間労働になりかねません。自分自身の体調やメンタルに気を配りながら、働き方をコントロールしましょう。

「一生懸命休むこと」も仕事のうち

私自身、テレワークという働き方をしていますが、「テレワークが絶対に良い」という風にお伝えしているわけではありません。

出社をすることで、一同に会する機会によるメリットもありますし、テレワークによって通勤時間がなくなり、生産性が飛躍的に向上するというメリットもあります。それぞれの特徴の良いところを活かして、出社とリモートワークを取り入れたハイブリットな働き方を推進できるのが一番良いのではないかと思っています。

そして、仕事を一生懸命することも大事ですが、「一生懸命、休む」ということも本当に大事です。まずは、心身ともに健康であること、つまり身体が資本です。そのうえで、仕事のやりがいを追求したり、余暇や学習を楽しんでいけたら良いなと考えています。

自分の身体と心を守れるのは、自分自身です。セルフコントロールをしながら、仕事を含めて人生を楽しんでいけたらとても素敵なことですよね。私たちニットはこれからも皆さんの働き方や生き方がより豊かになるような選択肢を増やせるよう努めてまいります。

読んでいただき、ありがとうございました!

この記事を書いた人

小澤 美佳

2008年に株式会社リクルート入社。 中途採用領域の代理店営業、営業マネージャーを経て、リクナビ副編集長として数多くの大学で、キャリア・就職支援の講演を実施。採用、評価、育成、組織風土醸成など幅広くHR業務に従事。2018年中米ベリーズへ移住し、現地で観光業の会社を起業。 2019年にニットに入社し、カスタマーサクセス→営業を経て、現在、広報に従事する傍ら、オンラインでのセミナー講師やイベントのファシリテーターを実施。 副業で嘉悦大学の大学講師。キャリアや就職などに関する授業を担当。