離れていてもカルチャーが共有できる働き方とは?〜株式会社スマートゲート

リモートワークをもっと当たり前の社会にするために、「リモートワークは普通!」になっている会社を紹介していきます。今回は、株式会社スマートゲート様にお話をお聞きしました。

2020年のコロナ禍に際して全社員フルリモートになったスマートゲート様(https://smartgate.jp/)。いかにして会社のカルチャーを損なわずに離れたまま仕事をするか、ひとりひとりが心地よく仕事するためにはどうしたらいいのか、その信念についても語ってくださいました。

今回は、リモートワークラボの編集長であり、仮想オフィスツール「Remotty」の開発メンバーでもある野本がインタビューを担当し、Remottyを使用するに至った経緯や、実際にどう使うかなどについてもお話しを伺っていますよ。


後藤 康宏

後藤 康宏ごとう やすひろ

株式会社スマートゲート
1983年、静岡生まれ。大学卒業後、DVDプレス会社のヴィジョネア株式会社に入社、インターネットマーケティング会社の株式会社インタースパイア入社(※現ユナイデット)。ファミリーレストランのメディア化、広告管理運営するフェザンレーヴ株式会社を経たのち、ソーシャルゲーム会社の株式会社ツナミの創業メンバーとして参画、ソーシャルゲームのディレクションやプロモーション、ビジネスデベロップ業務を経験、株式会社アドウェイズのグループ会社となる。

2011年7月に株式会社スマートゲートを創業、代表取締役社長に就任(現任)。一般社団法人日本書籍出版協会 コンテンツ活用委員。EO TOKYO所属。

カルチャーを損なわないために最適なツールを選んだ

それではまず、事業内容についてお話聞かせて頂けますか?

後藤

「日本を代表するコンテンツ商社になる」というビジョンを掲げ、コンテンツクリエイターの能力を活かす事業を展開しています。主な柱は2つですね。コンテンツマネジメント事業と、クリエイティブのBPO事業。コンテンツマネジメント事業というのは、クリエイターさんのクリエイティブ力を活かすお仕事です。コンテンツメーカーさんからライセンスをお預かりして、それを社内でカスタマイズします。アプリにしたり、電子書籍にしたり、オーディオブックにしたり、そういったさまざまなプラットフォームにコンテンツを提供し、運営するのが具体的な内容ですね。もうひとつ、クリエイティブのBPO事業は、クリエイターさんの制作力を活かす事業です。コンテンツメーカーさんが、「紙の書籍を電子書籍として展開していきたい」とか「紙で既に展開しているカタログを電子カタログにして、もっといろんな人に見てもらいたい」という要望を叶えるというような内容になります。現在、正社員が10名とアルバイトさんが11名の合計21名で運営しています。

いつ頃からリモートワークを導入しましたか?きっかけなどあれば教えてください。

後藤

最初は2015年ですね。一部のメンバーのみ在宅勤務にしていました。特に在宅勤務が急務であったわけではないので、本当に一部の人間だけで行っていました。全社員でリモートワークにしたきっかけは、緊急事態宣言です。

一気にリモートワークする人数を増やしたことで、課題や発見などありましたか?

後藤

弊社はカルチャーの共有というのを大変重要視しているんです。「コミュニケーションを通したファンづくり」というものなんですが、緊急事態宣言で全く顔を合わせない状態が続くことになり、このコミュニケーション不足がカルチャーを崩してしまうんじゃないかと危惧しました。同時に、自宅で作業するということで、メンバーがプライベートと仕事で空間を共有しなきゃならなくなる、そこにあまり踏み込むことになってしまうのはどうなんだろうという葛藤も生じました。どこまでなら大丈夫かな、と限界点を探った結果、静止画像ならいいかなということでRemottyを採用することになりました。

最低限のルールを設定することで、コミュニケーションがきちんと作用する

株式会社スマートゲート 後藤様

他のツールも検討して頂いたと思うんですけども、決め手となったのは、動画ではなく作業中の写真の共有というところだったんですか?

後藤

そうですね。zoomやGooglemeetのようなweb会議ツールをつけっぱなしにしようかって話もあったんですけど、それだと踏み込みすぎかなという懸念があって、Remottyにさせていただきました。

今もテレビ会議自体は使われているんですよね?

後藤

はい、会議は会議でやっています。Remottyだと普段の仕事中でもお互いの仕事してる様子がわかるので。「そこにいるんだな」っていう。非常に助かっています。

仕事はよくも悪くもテキストのみでも回っちゃいますもんね。スマートゲートさんのようなカルチャーを大事にされている企業さんには割とご好評頂いている部分です。

後藤

他社さんがどういうふうに使われているのか、導入コンサルで具体的に教えてくださったのも助かりました。初めてのことで手探りなのに急がなきゃいけない状況でしたから、そういうアドバイスは非常にやりやすかったですね。

ありがとうございます。現在はRemottyを使ってどのようにチームを運用しているんですか?

後藤

Remotty自体操作がすごくシンプルなので、自然にコミュニケーションに組み込んでいる感じですね。まず毎日必ず起動して、「おはよう」「休憩入ります」「お疲れ様でした」の3つの挨拶は最低限やっていこうと決めました。あとそれに対しての反応としての「いいね」。そのルールは徹底しています。戸惑うものもいなかったですし、重荷になるという話も今のところ出ていません。これだけでもみんなが「いる」ってわかる。これが重要だと思っています。Slackも併用しているんですが、業務に関することはSlackで細かいスレッド分けして話して、挨拶や雑談はRemottyで、という形で今は運用しています。

しっかり最低限使うルールを決められているんんですね。リモートでのコミュニケーションがうまくいかない会社さんの中には、Remottyなどのツールのアカウントだけを作って渡して、それ以上のチュートリアルや定義の共有がないというところが多いんです。そうすると、結局どうしていいのかわからないままの人がいたりする。そこを最初からルールを共有することで防いでいる。些細なようですごく良いポイントなのかなと思います。

ひとりひとりが自分に合った就業スタイルを選択できるように

今後もテレワークは続けていく気持ちですか?会社として。

後藤

このコロナ禍で全社員でリモートワークを運用できたことで、多様な働き方に対する自信がついたと感じています。でも一方でメンバーの中には、どうしても在宅だと集中できないという者もおりますので、今後はメンバー全員に希望を聞いて、在宅でやりたい者は在宅で、出勤したいなら出勤と選択できるようにするつもりです。もちろん緊急事態宣言が出ている間は早めに帰るとか、そういう状況に応じた対策はとりますけども。ひとりひとりに合わせた勤務形態を、ということでリモートワークを継続したいです。会社にとってこれは進化ですよね。いい機会ですので、さらに全国を対象に、場所を問わない…今よく言われるジョブ型ですね、それを取り入れて強化していきたいと考えています。地方の優秀な人たちを確保していけますし。

確かにリモートワークのベースが出来上がっていれば、採用の幅を広げられますね。

後藤

はい。それは大きいところですね。あとは、会社に土地はあんまり必要ないんじゃないかなと思っていまして。今巣鴨に事務所があるんですけど、池袋の方に一事業部だけ移そうかなと考えています。
現在コンテンツマネジメントとクリエイティブBPO、両方ともいい形で成長できているので、お城を増やして分散オフィスにする予定なんです。

最近の流れに照らし合わせると、事務所は小分けにしていく方がクラスター予防にも効果がありそうですね。このコロナ禍においても事業は順調に伸びていっていらっしゃるんですね。

後藤

ええ、おかげさまで。私たちは巣篭もり需要的の恩恵を受けやすい業態なので、ありがたいことに。

柔軟でフットワークが軽いところ、尊敬します。これからもどんどん発展できそうで楽しみですね。本日はどうもありがとうございました。

取材後記

一見フルリモートでは維持しにくいように感じられるカルチャーをどうやって守っていくか、社員同士の距離感も非常に繊細に考えて成功に至った好例だと思いました。この先どう伸びていこうかも積極的に考えていらっしゃって、柔軟さと清々しいエネルギーを感じました。
ますますのご発展をお祈りいたします!

(リモートワークラボ編集部)

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この記事を書いた人

土佐光見

リモートワーク研究所研究員・ライター。 webショップの企画運営、web制作、ディスクリプションライティングを経験し、フリーランスに。リモートで働く二児の母。趣味は読書、観劇、俳句。