「即レス」文化をなくせば、コミュニケーションはもっと穏やかで効率的になる〜Doist社(後編)

どこで働くも自由。どんな風に働くも自由。

普段はどのように働いているんですか? 1日の大まかな流れやスタイルなど教えてください。

長澤

普段は10時から11時ごろにオフィスに行きます。13時頃から1時間くらい同僚とランチに行って、帰宅は18時、19時くらいですかね。オフィスで作業することが多いですが、僕は同じ場所でずっと働いていると集中できなくなる時があるので、週に何回かは自宅やカフェで働きます。休暇とは別に、行きたい場所に行ってそこから働く場合もあります。

ワーケーション的な?

長澤

そんな大きなものではないんですけど…そう言えば今日はちょっとポルトじゃない所にいまして。

あ、そうなんですか。

長澤

アゾーレス諸島という、ポルトガル領なんですけど、ポルトガルとアメリカの半分みたいな所です。そのサンミゲル島って所で、ちょっと気候が日本に似てますよ。ジメジメした感じで。

一同

(笑)

長澤

今はチームのメンバーのタイムゾーンが似ているので、ミーティングを週に1回チームで30分ほど行って、そのほかのコミュニケーションはほとんどTwist(Doist社開発のコミュニケーションツールを使っています。今はいいんですけど、僕が日本に帰ったりすると時差が大きくて、日程の調整などが少しやりにくくなってしまいますね。

移動しながら働く方も多いですか?

doist

ヨーロッパアルプスのモンブランの頂上にて

長澤

半々ぐらいですね。7割くらいの方は家とかオフィスとかで働いています。あんまりノマドワーカーみたいな感じで旅しながら働いているような人はいないですね。僕自身も最近ようやくポルトから離れて働いたりするようになったところですが、基本的には拠点を持った方が自分は働きやすいと感じております。移動は気分転換にもなりますが、トラブルもつきものなので、疲れてしまう時も多々あります。

「脱・即レス」が、良いチームワークの要

メンバーのタイムゾーンがばらばらだと、顔を合わせてミーティング、のようなリアルタイムのやりとりはどうなりますか?

長澤

そうですね。リアルタイムのやりとりは基本しません。ヨーロッパならまだしもそれ以外の地域は時差も大きいので…。なので、リアルタイムでなくスレッド形式で、時差があってもうまく議論が進行できたり決定できたり、そのためにうまく作られたものが「Twist」です。自分たちがその都度直面した問題を解決するようなプロダクトになっていると思いますね。

「Twist」は「より穏やかで体系的」と表現されていますね(https://twist.com/home?lang=ja)。開発の経緯など教えていただけますか?

doist

Twist画面。日本語版もあります

コミュニケーションツールTwistの特徴、料金、使い方まとめ

長澤

僕が入社する前から開発が行われていたので、知っている範囲で…。DoistとしてはもともとSlackをコミュニケーションツールとして利用していたんです。

Slack、人気ですよね。

長澤

ええ、でも我々には時差があるんです。そうすると、Slackないし現在世間に出回っている多くのコミュニケーションツールでは、私たちのコミュニケーションにはそぐわない点というか、問題が出てきてしまったんです。先ほどもちょっとお話しした「リアルタイム問題」ですね。Slackなどは、リアルタイムチャットツールなので、重要な議論に参加できないまま、決定が知らないうちになされていたり、話題を見逃してしまったりということが度々起きるようになりました。そういう風に自分たちが直面した問題を解決したのがTwistです。でもこの問題は、実は時差がないチームでも頻繁に起こることだと思っています。チームの人数が多ければまた、ニーズのあるサービスなのではないかと。

そうですね。タイムラインがずっと動いていると、気になってしまったりもありますし。

長澤

自分のペースを守る、ということにおいても向いているツールだと思っています。

今リモートワークしている人たちが、より良いリモートワークのために開発している。非常に面白いですね。

デメリットもある。それをみんなで解決するのがDoistのスタイル

リモートワークを始めてみて、どのように感じましたか?

長澤

リモートワークは、以前の職場ではまったく経験し得なかった働き方で、実は少し不安だったんです。でも実際始めてみると、思いの外自分にとっては合っているなと思っていますね。とくにリモートワークの柔軟さにはすごくメリットを感じています。とにかくインターネットさえあれば大丈夫というのが心強いです。例えば、日本に一時帰国する時とか、どこかに行きたいなー、という時も、ネットさえ繋がっていればすぐに作業できますからね。時間にも場所にもとらわれないというのが、僕にとってはすごくストレスフリーです。

doist

ドン・ルイス1世橋とポルトの街並み

最大のメリットと言っても過言ではないですよね。その自由さは。デメリットを感じる点はありますか?

長澤

そうですね、デメリットとしては、時差によるコミュニーケーションですね。あとは孤独感ですとか、リアルタイムでない(「急ぎ」が通用しづらい)とか、時間の管理面ですね。時間のコントロールは結構難しく感じる人も多いんじゃないかと思います。つい働き過ぎてしまうことはありますし。

みなさんよくそうおっしゃいます。時間管理は永遠の課題ですね。

長澤

そうですね。でも個人的にはそれらのデメリットよりもメリットの方が大きいと思っています。どれも工夫次第でなんとでもなるというか、軽減することができる問題ばかりですね。そういうデメリットについても会社全体でよく話し合ったりしていて、それもすごく興味深いです。みんなが感じていることなんでしょうね。僕が入社してから割とスムーズに環境に溶け込めたのも、会社自体が整えてくれていたからだな、と思っています。このあたりは会社によってかなり違うと思うんで、なんとも言えないところですが。

「穏やかなコミュニケーション」が守ってくれる、自由と生産性

リモートで働くことで、意識するようになったことや、スムーズに働くために気をつけていることはありますか?

長澤

それぞれ違う国から作業していて時差があるので、まずは即レスを期待しないことでしょうか。でもこの「即レスを期待しない」という考え方は、時差があるということだけに当てはまることではないと思うんです。人によって仕事の優先順位も違いますし。そういう状況の中で、コミュニケーションミスをなくしたり、効率化したりするために、返信や質問などはよくよく考えてからするようにしています。

一緒にオフィスにいたり、同じタイムゾーンで今ログインしていることがわかっていたりすると、まとまらないまま質問して、だらだらやりとりして…ってなりがちですもんね。それも考えてみれば効率が悪い。

長澤

通知もあんまり頻繁だと気になります。Twistにも通知機能はありますが、通知先を選ぶことができるので、割と慎重に選ぶようにしています。本当に必要な人にだけ送る感じで。会社のルールとしても適切なメンバーにだけ、となっています。僕自身も、集中したい時とか、仕事以外の時間は通知は見ません。見ないようにしています。経験上、1度でも見てしまうと作業したくなったり、返信したくなったりしてしまうんですよね、衝動的に。だから緊急でないものは見ない、それ以外のものもランチ後とか、休憩時間とかにまとめてチェックして返信、という形にしています。

その習慣も大事ですね。デスクトップでも携帯でも通知はじゃんじゃん鳴りますよね。そうか、それでTwistは「より穏やかなコミュニケーション」なんですね。

長澤

その通りです。

時差のあるチームメイトと働く、ということの延長線上に、こういう気遣いや自分のペースの作り方が生まれるんですね。

長澤

そうです。先ほども言いましたが、即レスはこない前提なので、質問は簡潔かつ的確に。逆に返信する時はそのための時間がたくさんあるので、脊髄反射ではなくて、ちゃんと相手の意図を汲み取るようにしてから返信するように気をつけています。よく考えたら当たり前のことかもしれないんですけど、以前よりずっとそのようなことに注意を払うようになりました。

効率化や、相手へのわかりやすさは、自由さと生産性を守るためにとても大切なことなんですね。お話を聞いていてよくわかりました。本日はありがとうございました!

doist

ヨーロッパアルプスのモンブランの頂上にて

取材後記

世界中の同僚とリモートワークで繋がっているという、その規模感に圧倒されました。しかしタイムゾーンが違う同僚と働くための工夫は、実はチームで働く全ての人にも通じるもの。効率よく生産性をあげる考え方、とても勉強になりました。ますますのご活躍をお祈りいたします!

(リモートワークラボ編集部)

最初から読む

Remote Work Laboではリモートワークを行なっている企業の記事を作成しています。
取材をご希望される方は以下のボタンより、お気軽にご相談ください。

ご相談はこちら

この記事を書いた人

土佐光見

リモートワーク研究所研究員・ライター。 webショップの企画運営、web制作、ディスクリプションライティングを経験し、フリーランスに。リモートで働く二児の母。趣味は読書、観劇、俳句。