大切なのは、働く『場所』より『コミュニケーション』〜自律的に動いて考える人々・合同会社コベリン(前編)

リモートワークをもっと当たり前の社会にするために、「リモートワークは普通!」になっている会社を紹介していきます。今回は、リモート会議を快適にする共同編集ツール「facilio」や、twitterクライアント「feather」などを開発する、合同会社コベリンさんにお話を伺いました!

社員全員が日常的にリモートワークをしているというコベリンさん。昨年からフルリモート社員も誕生し、コミュニケーションの形を模索しながら、その経験を「リモートワークのためのツール」の開発にも生かしていらっしゃいます。

日々のコミュニケーションや経験から得られた知見、リモートワークへのスタンス、「facilio」開発の経緯などをお話しくださいました!


亀山 龍平

亀山 龍平かめやま りょうへい

合同会社コベリン 代表社員
大学卒業後フリーランスとしてモバイルアプリ開発を行う。2013年にコベリンを設立し、エンジニア兼デザイナーとしてツイッタークライアントfeatherを始めとしたモバイルアプリやWebサービスの開発を行う。
船曳 崇也

船曳 崇也 aka @numa08ふなびき たかや

合同会社コベリン リードエンジニア
モバイルからバックエンド、WEBアプリケーション開発などをフルスタックに行う。コベリンには大阪からリモートワークでお仕事中。好きなものはデ・ジ・キャラット。行きたい場所はプリパラ。

営業はなし、開発とバックオフィスメンバーだけで運営

それでは、最初に会社の概要をお伺いします。

亀山

弊社はモバイルアプリや、ウェブサービスの開発を中心に行なっています。今一番目玉となっている商品としては、Twitterクライアントの『feather』というアプリですね。これはiOSソーシャルネットワーキング部門の有料アプリランキングでずっと1位を取っています。

あと、僕たち(設立メンバーの3名)の母校が高専なんですが、そこの先生と協力して、教科書にスマホをかざすとより詳細なCGが出るという、ARアプリの開発をしています。それから最近ではHoloLensのアプリの開発も結構やってますね。

すごい、今が旬の技術ですね。

亀山

ええ。他の会社さんで作っているもののアプリ部分を担当するという形が多いんですが、AR、MR分野が多くなっていますね。

設立メンバーが高専のお友達同士とおっしゃっていましたが、卒業後すぐに会社を立ち上げられたんですか?

covelline

東京事務所

亀山

いいえ。高専を卒業して会社勤めを始めてもずっと仲良くしていたんですけど、僕は高専を出た後に大学に編入したんです。その大学を卒業した後は1年ぐらいはフリーランスのスマホエンジニアをしていました。残りの2人が「会社を辞めようかな」と考え出したのをきっかけに、「じゃあ、会社をやろうか」「アプリを作ろうよ」みたいな。そこで最初に開発を始めたのが『feather』です。

今、何名で運営していらっしゃるんですか?

亀山

今は5人です。

皆さん、エンジニアですか?

亀山

そうですね。もうみんなエンジニアで。ただ、1人は同じ高専卒なんですけど、バックオフィス系をずっとやってもらっています。

ではアプリの販売は、営業ではなく口コミで?

亀山

そうですね。ほとんど口コミです。

営業を置かない会社さんも最近増えてきていますね。

亀山

僕ら自身が営業があんまり得意じゃないっていうのもあって。どうしても開発メインになりますので。

その日の気分で仕事場所を決めてもいい

covelline

船曳さんは現在フルリモートなんですね。リモートワーク自体はみなさんどのくらいの頻度でやっていらっしゃるんですか?

亀山

フルリモートは船曳1人なんですけど、全員が日常的にリモートワークしていますね。今日はたまたまオフィスに2人いるんですけど、雨の日なんかは誰もオフィスに来ません(笑)。

事務所の創設当初からそういう感じですか?

亀山

そうですね。埼玉に最初のオフィスがありまして、それが本当にすごく狭いマンションの一室だったんです。その頃はいつも人が集まってたんですけど、実際すごい狭いので(笑)。雨の日とか、事情があって行けない日にはリモートしていました。

船曵

うちには合ってるよね、それくらいが。

亀山

ほんとそうです。個人的には、朝起きて「今日は気分じゃないな」みたいなことが結構あるので(笑)。そのときにいきなりリモートにできたりするのは、良いですね。他のメンバーにもそのくらいの気持ちで自由にやってもらっています。

フルリモート宣言はあっさり受け入れられた

船曳さんの入社の経緯を教えていただけますか?

船曵

コベリンの創立メンバーの1人が、ずっとTwitter上での知り合いだったんです。その当時私が勉強会を主宰していて、そこで実際に会うことになって、その時に、人を増やして、当時iOS版だけだった『feather』をAndroidにも移植したいという話が出たんです。私はAndroidのエンジニアでもあって、ちょうど「そろそろ会社を辞めたいな」と思っていた時期でもありました。そんなこんなでオファー頂いて入社、という経緯です。

最初に入社したときからもうフルリモートですか?

船曵

ではないですね。私が入社した時はまだ埼玉にオフィスがあって、そこに通っていたんですが、結婚をきっかけに、親戚なんかがいる大阪に引っ越しました。去年の10月ですね。

そのときは「引っ越したい。フルリモートでもいい?」みたいな話し合いがあったんですか?

船曵

軽くあったとは思いますけど、審議に審議を重ねたとかではなくて、「俺、半年後ぐらいから大阪に行きたいんだけど」って言ったら、「あ、いいじゃん、いいじゃん」みたいな(笑)。

一同

(笑)

亀山

最初に船曳から「大阪に引っ越してこういうふうに働きたい」というまとまったテキストが送られてきて、僕は「全然いいんじゃないか」と思ったんです。もともと「リモートいいよね」みたいな雰囲気も会社としてあったので、これを機にリモートワークを推進できればいいんじゃないかと。

そういうことなら、ロールモデルになってもらうと。

亀山

まさにそうですね。

「飲み会に参加できない」問題

社内初のフルリモートになりますよね。それで「こういうことがうまくいかないんだな」と思うことはありましたか?

船曵

一番の困りは、音響関連でしたね。最初の頃リモートで会議する時は、Mac本体のマイクを使っていたんです。誰もヘッドセットは使わないで、机の上にMacを1台置いて、東京にいる社員4人と大阪にいる私が会話していたんですけど、Macのマイクってかなり周りの音を拾うんですね。

そうですね。私も最初にそれをやって、すごく不便だったのを覚えてます。性能の良いマイクなんだなとも思いましたけど。

船曵

そうなんですよね。それでタイピングの音がうるさいとか、外の音が入ってきて話が聴き取りづらいとかで、会議には向かないなと思いまして、ヤマハの電話会議用のマイクとスピーカーが一体になっているものを購入しました。

あと、社員にもゼンハイザーのヘッドセットを買って、リモートで会話をするときはヘッドセットを使うっていうルールを作りました。

なるほど。他に個人的なレベルで何かありましたか?

船曵

家で仕事をしていますので、生活と仕事の区切りがなあなあになることがあって。

covelline

船曳氏のホームオフィス

なりますね。

船曵

おそらくそれが原因でちょっと不眠ぎみになってしまって。

つい遅くまで作業してしまったり?

船曵

そうですね。もう結構、例えば夜の7時とか8時に晩ご飯を食べて、そこから仕事の続きをちょろちょろっとやっちゃうと、なかなか寝るモードにならずに、ずっと仕事のことを考え続けている状態になってしまって、布団に入っても全然眠れないんです。大阪に引っ越ししてから2~3カ月後ぐらいにそういう風になってしまって、治るまで半年ぐらいかかりましたね。あと、本当細かいことなんですけど、大阪と東京の距離感がやっぱりどうしてもあるので、飲み会とか打ち上げに気軽に行くわけにはいかなくて(笑)。

寂しいですね(笑)。

船曵

そうなんですよ。今は、プロジェクトにも完全にリモートで参加してて、東京にいればお客さんにいただいた案件がひとつ終わったら、打ち上げをするんですけど、「船曳さんは気持ちだけ参加」とか…。

iPadでお顔だけ参加とかは?

亀山

やりましたね。

船曵

それは1回だけやったかな。

どういう感じでした?

船曵

いや、もう最初の乾杯だけですね。

一同

(笑)

ちょっと難しくなりますよね。みんながリモートでつながって飲み会するんだったら平等なんですけどね。

亀山

そうなんですよね。お金を送金できるアプリで、ビール代を送り合ったりとか、それぐらいですね。

ちょっとその寂しさの解消方法はまだこれからですか?

船曵

そうですねぇ。

亀山

家のプライベートと仕事が分け合えないっていう問題に関して、会社としては、コワーキングスペースに行く費用も全部出して、「リモートでも時々外で仕事しよう」みたいなのをやっています。

船曵

今、私がいるのもまさにコワーキングスペースです。

後編に続く

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この記事を書いた人

土佐光見

リモートワーク研究所研究員・ライター。 webショップの企画運営、web制作、ディスクリプションライティングを経験し、フリーランスに。リモートで働く二児の母。趣味は読書、観劇、俳句。