完全リモートワークの会社のコミュニケーションツール変遷

はじめまして。しくみ製作所の豊川と申します。

新型コロナウィルスの影響もあり、世の中にリモートワークという働き方が一気に広まったと感じています。時代的には一気に転換をしたように感じられますが、実際の現場ではこの急転直下の状況変化に対応しきれていないところもあるのでは?と考えます。

先日もリモートワークを推進する協会の方とお話をさせていただいた際に、「リモートワークでのコミュニケーションの問題は協会所属の企業様からも声が上がっている」という話を聞きました。

コミュニケーションと言っても様々な切り口があると思いますが、今回はその中でも一番わかり易いであろう「コミュニケーションツール」において、私達しくみ製作所がどのような変遷をたどってきたのかを書かせていただきます。

コミュニケーションツールの使い方や使いどきについて気づきを与えられたら嬉しいです。

自己紹介

その前に、私達しくみ製作所と執筆者の豊川について軽く自己紹介をさせてください。

しくみ製作所

2014年8月創業のWebシステム開発会社。創業当初から全社員が完全リモートワークという働き方を展開し、2020年7月現在では北は北海道、南は宮崎まで40名弱の社員が在籍。

豊川 雄太

2017年10月にプログラミング実務無経験の状態から見習いプログラマーとしてしくみ製作所へ入社。

それ以前は新卒にてWebマーケティングの会社にて営業、マーケティング、新規事業開発、経営企画を経験。その後、大手人材紹介会社へ転職し、企業への採用コンサルティング、求職者へのキャリアコンサルティングをに従事。

これらの経験を活かす形で、現在のしくみ製作所ではプログラマー 兼 採用担当 兼 広報担当として多方面で活動中。

コミュニケーションツール変遷

自己紹介が済んだところで本題に入ります。

創業当初(2014年8月頃)

代表車、CFO田渕の2名からしくみ製作所は立ち上がりました。当初、車は北海道から、田渕は和歌山県から、コミュニケーションツールを駆使して業務を行っていました。Slackでのテキストベースのコミュニケーションを取りつつ、Google Hangoutやappear.in(現Whereby)などのビデオチャットツールへ常時接続をする形でコミュニケーションを取っていました。

ビデオチャットツールに常時接続していた理由は、いわゆる「監視/管理」ではなく、リアルタイムにスピード感を持ってコミュニケーションを図るためでした。そのため、基本はカメラやマイクをオフにし、必要に応じてオンにして会話をするという様に使っていました。

Discordの導入(2016年11月頃)

社員数も徐々に増えていき、これまで通りGoogle Hangoutを常時接続したやり取りが難しくなってきました。具体的には、組織の運営上、複数のチャットルームを作成する必要が出てくるようになりました。

例えば、「開発チームごとにチャットルームを作成したい」といったような場面です。Hangoutではチャットルームを簡単に作成できるのですが、どのチャットルームがどのURLに紐付いているのか?や誰がどのチャットルームにいるのか?といったことを見ることができませんでした。

そこで導入されたのがDiscordです。Discordはゲーマー界隈でよく使用されるボイスチャット用のサービスです。Slackのようにチャンネルベースでチャットルーム管理ができ、また、誰がどのチャットルームに入っているかがひと目で分かります。

同じチャットルーム内に入っているメンバーのみ音声が共有されるので、会議室のように必要に応じて必要な人が集まって、会議を行うことができるようになりました。

会議のYouTube配信開始(2017年2月頃)

社員が増えたことにより、コミュニケーションや情報の透明化を更に加速させる必要が出てきました。その流れで実施したのが会議体のYouTube配信です。会議中にYouTubeへライブ配信を行い、アーカイブも残すようにしました。

その時に使用したのは私達の定番ツール、Google Hangoutでした。Discordの導入に伴い一時的にHangoutの影が薄くなっていましたが(クライアントとの打ち合わせではHangoutを使っていましたが)ここに来て改めて脚光を浴びることに。

ちょっとした打ち合わせは引き続きDiscordにて行われる文化は残りましたが、役員会議や全社員に配信すべき会議体はすべてHangoutのYouTube配信が行われるようになりました。

豊川入社直後(2017年10月頃)

と、このあたりで、私が入社した2017年10月時点でのコミュニケーションツールをまとめてみます。

ツール用途
Slackテキストチャットメイン。基本的にPublicなチャンネルのみでのコミュニケーションを徹底。ダイレクトメッセージでのやり取りは暗黙の了解的に使わなくなっていた。emojiの文化もあり、オリジナルのemojiを各自追加して多用していた。
Google Hangout主にはクライアントとの打ち合わせ、社内で配信が必要な大きめの会議体で使用。その他、画面共有が必要な場合、都度部屋を作成して使用していた。私が所属していたプロジェクトでは、創業当初のように常時接続型の部屋を使用していた。
Discord全社員参加型の朝会というものを毎日開催しており、そちらで使用。具体的には一部屋3〜5人くらいに別れて、出社後15分ほど雑談をする会。当初は会議室だけが設けられていたが、徐々にプロジェクト専用チャンネルが作成され、リアルタイムなコミュニケーションはその部屋内で行われるような運用に変わっていった。

全体朝会廃止 & Slack Callの誕生(2019年8月頃)

更に人数も増え、プロジェクトごとに朝会をやるようになっていきました。それに伴い全社員参加型の全体朝会が廃止の方向に動き出しました。プロジェクト以外のメンバーとのコミュニケーション創出という観点で、全体朝会の廃止の賛否が別れましたが、最終的には時間の有効活用やプロジェクトメンバー内でのコミュニケーション活性化を行うことを目的として、全体朝会は廃止となりました。

それに伴いDiscordの利用人口が減少しました。これまでは全体朝会をDiscordで行い、終わったら各プロジェクトのDiscord部屋に移動するという流れがありましたが、朝会がなくなったことでDiscordを立ち上げるキッカケがなくなってしまったのが大きかったのだと思います。

程なくして、Slackが正式にSlack Callという機能の提供を開始しました。Slack Callは非常に便利で、Slackのテキストチャット打ち込みのフィールド内に/call というコマンドを入力するだけで、即座にSlack Callが立ち上がります。

また、他のビデオチャットツールと違い、画面共有をした際に相手の画面にペンで絵を描くことができるので、画面共有の際に歯がゆかった「ここをクリックして!」というのが簡単に示せるようになりました。

番外編1: Notionの導入(2019年10月頃)

コミュニケーションツールのカテゴリではないのですが、社内のドキュメント管理ツールがesaからNotionに切り替わりました。

創業当初はBacklogを使用していましたが、使い勝手の問題から途中でesaに切り替わりました。esaでも十分にドキュメントの管理はできていたのですが、黒船Notionの登場です。

決断の大きな理由はNotionの機能の豊富さ。esaではテキストベースのドキュメント管理で終わってしまうのですが、Notionはドキュメントの表示形式を切り替えることができ、同じドキュメントでもTodoやカンバンなどのタスク管理構造にしたり、テーブル構造にしたりと、用途によって既存のデータを柔軟に表示させることができます。

ExcelやGoogleスプレッドシートのような表管理ツールもNotionで代替できるようになりました。(Notionの回し者ではないですが非常におすすめです笑)

Google Hangoutの提供終了(2019年12月頃)

GoogleがHangoutからMeetに正式移行することを発表していましたが、猶予期間中はギリギリまでHangoutを使っていました。難なくMeetへの移行ができればよかったのですが、ネックとなったのがYouTube配信です。しくみ製作所が加入していたGSuiteのプランでは会議体のYouTube配信を行うことができませんでした。

会議体の透明化の文化が根づいていた私達としては相当な痛手でした。MeetでのYouTube配信は諦め、Zoomを導入することに。Hangout時代に比べると配信までの設定が多少めんどくさくなりましたが、無事Zoomでの会議体のYouTube配信の環境が整いました。

2020年7月現在のツール使用状況

ということで、長いことお付き合いいただきありがとうございました。現在どういった形でツールを使用しているのか?を最後にまとめます。

ツール用途
Slackテキストチャットメイン。ここ最近のSlack Callは接続安定性が悪く、遅延が発生しやすいため社内での利用頻度は低下。
Google MeetSlack Callが接続不安定なため、社内でのYouTube配信をしない会議体はMeetが使われる場面が増えた。社外(クライアントや面接など)では定番ツールとして利用。
Zoom社内でYouTube配信を必要とする会議体に使用。

番外編2: 試しに使ってみたツール

コロナの影響もあってか、オンラインのビデオチャットシステムが増えたように感じます。そのうち2つほどしくみ製作所内で一時的に使われたツールがあったので、私の独断と偏見での評価を書いてみようかと思います。

Remo

オンラインイベント用?として考案されたツールのようで、1つの部屋内に複数のテーブルが用意された疑似的なUIとなっています。テーブルへの着席可能人数が決まっていたり、自ら席を移動するといったオフラインの会場の物理的な制約を再現しているようでした。

個人的にはDiscordに物理的な制約を足したようなイメージに近く、だったらDiscordで良いなぁと感じました。2週間のトライアル期間を経て、そのまま社内的にもフェードアウトしました。

Spatial.chat

空間内で自分のアイコンをマウスドラッグして移動するUIとなっています。目玉の機能が距離によって他のユーザーの声の大きさが変わるというもの。リモートでの音声コミュニケーションを取る中で、物理的な距離がないことが実は地味にストレスに感じていた(10人いたら10人声のボリュームが同じ + 話題も1つに絞られてしまう)ので、個人的には非常に画期的なサービスだと思いました。

それ以外にもYouTubeを同時視聴(一人が再生すると他のデバイスでも同じ場所が再生される)機能が備わっていたりするので、利用用途は色々と幅がありそうに感じました。

しくみ製作所社内では、オンライン飲み会でこのツールを使用してみましたが比較的好評だったので、そういった線で活用できる可能性は高いと思います。

まとめ

ということで、私たちしくみ製作所がこれまでに使用してきたコミュニケーションツールの変遷をお送りしてきました。それぞれのフェーズや状況によりツールを都度見直していることがわかると思います。

絶対的評価でこのツールがいい!と断言するのは非常に難しいので、ご利用される状況と今回ご紹介した状況を照らし合わせて、ツール選定の判断材料としていただけたら幸いです。

この記事を書いた人

豊川 雄太

40名弱の全社員が完全リモートワークの会社「しくみ製作所」にて、Webエンジニア 兼 採用担当 兼広報担当として多方面で活動中。趣味は週4でジム通い。