【オフィスは何のためにある?クラウドで世界をもっと働きやすく】~後編 株式会社サーバーワークス

「チームで働くリモートワーカー」を応援する【リモートワークラボ】がお届けするインタビュー企画。
この企画では、リモートワークを推奨している企業の社長やリモートワーカーに、リモートワークを取り入れている理由、チームが機能する仕組みをお話いただきます。

株式会社サーバーワークス 代表取締役 大石 良氏

株式会社サーバーワークス代表取締役。AWSやクラウドサービスを組み合わせることで「作らない」SIを実現すべく奔走中。「プレゼンで得るものが無ければ切腹します!」という切腹プレゼンスタイルでも知られ、デブサミ2013「『SIの未来ってどうなのよ?』SIer大淘汰時代にAWS専業で新しいSIの形にチャレンジする企業の舞台裏」ではベストバリュー賞を受賞。

 

株式会社サーバーワークス サービス開発課 課長 千葉 哲也 氏

1999年から2003年まで生鮮品のBtoB販売サービスのインフラ構築・運営を経験、その後、都内のSierに勤務。サーバーワークスには2011年にJoinし、Cloud Automatorをはじめとするサービス開発に従事、『つくらないSI』を提唱する組織で”つくるべきもの”を見出しカタチにしている。Amazon Web Servicesのコミュニティ「JAWS-UG」の横浜支部に所属。

全員がリモートワークにしてみたことで、全ての情報が文章で残るようになった

リモートワークをする際のタイムスケジュールはどんな感じでしょうか。

千葉

朝は通勤がない(リモートワークなので)のでゆっくり、10時始業なんですけど、8時半ぐらいまで寝ています。そこから食事を取ったり、ニュース番組を観て10時を迎えます。

いいですね。

千葉

はい。我々のチームは朝会をやっているので、10時になると、みんなで朝会を開始します。ハングアウトでみんなつないで、顔を見ながら、今日やることだったり、昨日のタスクの残りの分とか、困っていることなどを共有します。それからはSlackでコミュニケーションを取りながら進めます。我々のタスクは全部GitHubのissueで管理しているので、GitHubのissueをカンバン方式のように優先順位を並び変えることができるcodetreeというサービスを利用して、各タスクの優先順位を可視化して、メンバーをアサインしていきます。

株式会社サーバーワークス 千葉氏

千葉

メンバーは自分がアサインされているものを上から順番にやっていき、ラフな話であれば、Slackの我々のチャンネルでコミュニケーションを取りながら進めて、そうじゃないもの、情報共有が必要なものに関しては、GitHubのissueですべて情報管理をしています。僕たちのチームは今5人のチームなんですが、そのうちの2人は個人事業主の方で、この2人は特に時間の縛りはありません。

千葉

サーバーワークスの社員である僕たち3人は毎日出社、顔を合わせて仕事していました。そのため、口頭で話して完結してしまった事など、どうしてもリモートワークの2人に伝わらない情報がちらほら出てきてしまったんです。そこで我々もリモートワークにしてみたら、必然的に全ての情報をGitHubなどに残すようになりました。結果、「伝わらない」ということがなくなり、すごくよかったと思っています。

千葉

業務は上から順番にやっていって、必要に応じてSlackを、ハングアウト(テレビ会議)はもうがんがん使いますね。ずっと専用のチャンネルが開かれていて、「ちょっとハングアウトいいですか?」と頼んで入ってもらって、仕様詰めだったりというのをやっています。タスクを1個1個上から順番に実装して、テストして、1日が終わりますね。

成果が出にくいときに、働きすぎてしまう懸念の方が大きい

夜は何時ぐらいに終わりますか?

千葉

夜は19時位ですかね。お昼も好きな時間にとれるので、16時ぐらいに昼飯を買いに行きながら、ついでに晩ごはんの買い物をして、そこからまた19時ぐらいまで働いて、ご飯をつくって食べて、残りの仕事をやって、風呂に入って寝ます。

左:大石氏、右:千葉氏

オフィスに行っているときと、家にいるときと、労働時間も変わらないですか?

千葉

オフィスにいるときは、変な言い方ですけど、達成感があるんですよね。朝10時に会社に来たことで達成感もあるし、定時までオフィスにいたことに達成感があるんですけど、リモートワークだとその両サイドはないわけです。うちのメンバーの言葉で印象的だったんですけど、成果が出づらいとき、例えば検証をしていて思ったように進まなかったとか、そういうときに切りが悪くずっと働き続けてしまうと言っていたことがあるので、働きすぎてしまう方の懸念を、最近感じていますね。

そういう達成感というか、アウトプットが見えづらい仕事をしてるとき、「こういうことをしてたんだよ、今日1日」という報告はどこかに書いたりするんですか?

千葉

そうですね。日報は毎日みんなに書いてもらっているんですけど、そういう時は気まずそうに1行だけ書いてあったりしますね、「うまくいってません」みたいな内容が。

リモートワークのメリット。それはリモートの優秀なエンジニアを採用できること

では次に、リモートワークのメリット・デメリットについて、大石社長と千葉さん、お二方からお聞きしてもよろしいですか?

千葉

いい点というのは、通勤がないことだったり、自由な時間が増えたり、猫が寂しくなさそうにしているのはすごくいいです。(笑)

大石社長はいかがですか?

大石

会社経営的にリモートワークをやって一番よかったと思うのは、リモートの優秀なエンジニアを採用できることですね。人手不足と巷では聞きますが、ちょっと地方に行くと「いや、全然仕事なんかないよ」という優秀な人が少なくないんです。そういう人を今、僕らは特に大阪中心なんですけど、結構いいペースで採用できています。それはやっぱり、本格的にリモートワークを始めてもう足掛け4年目ですけど、離れた場所のエンジニアであっても、ちゃんとこういう仕組みでやれば、パフォーマンスを出せるというのが経験で分かっているので、臆せず採用できるんだと思います。

それは本当にリモートならではですよね。大阪で募集をされるときは、「リモートワーカー募集」という表現なんですか?

大石

いや、そんなことないんですよ。大阪事務所で募集という普通の形でやっているんですが、応募者が実際大阪のメンバーと会うじゃないですか。そのときに既存のメンバーが「俺、会社なんか行ってねえよ」とかって言うわけですよ(笑)。「なんだ、それでいいんだ」という話になって、新しいメンバーもリモートワークになったりします。今度福岡にも2人目が入るんですけど、その人も福岡の既存メンバーと面談した際に、「いや、会社なんか行かないっすよ」という話を聞いて、「じゃあ、リモートでいいじゃん」となるわけです。そうやって優秀なエンジニアがどんどんジョインしてくれるので、それは本当にリモートワークの一番いいところだなと思いますね。

大阪のメンバーが東京の新入社員のトレーナーとして、リモートで教育

不安な点はありますか?

大石

リモートワークだとやっぱり教育に関しては弱くなりますね。特に新入社員への教育みたいなところは難しいと今でも思っています。そこで僕らは今年から始めた取り組みがあります。

新入社員には定期的に交代で先輩社員がトレーナーとしてつくんですけど、大阪のメンバーが東京の新入社員のトレーナーになることを試してるんですよ。

なるほど。

大石

これが意外とよかったらしいんです。ただ、今回は大阪のメンバーがすごく気を遣ってきちんとコミュニケーションを取ってくれて、それで結果的によかったという話で。まだ、個人の頑張りに依存していて、たまたまその一定期間うまくいったというレベルなんで、これが本当にうまくいくか、仕組みとしてうまくまわるかどうかは、まだ全然未知数なんです。

でも、最初の1歩としては、リモートでも教育ができそうだと。

大石

そうです。できるんじゃないかと。ただやっぱり近くで一緒に仕事をしていれば、ちょっとした言葉遣いだったり、ちょっとした行動とかに、「もうちょっとこういうふうにしたほうがいいよ」とタイムリーに教えてあげられるので、その点では、新入社員とか中途で入ったばかりの人には近くでやってもらうことに一定の意味があるとは思います。

デメリットは成果が出づらいときに、メンバーが頑張り過ぎてしまうこと

千葉

僕が感じるデメリットはさっき言っていたとおり、成果が出づらいときにメンバーがすごく頑張り過ぎてしまうところですね。リモートワークをやっている以上、成果に対してコミットはするんですが、どうしても上手くいかない時もあります。成果だけではなく、頑張りをちゃんと見ているよ、とうまく伝えていければと思っていますが、どう改善していけばいいのかというのがなかなか見えてなくて。

大石

やり過ぎちゃうというのは、よく言うよね。

千葉

そうですね。サボるようなメンバーだったら、そもそも一緒に働かないですし。それでも、「サボっているように見えちゃうんじゃないか」という不安から、どうしても頑張り過ぎてしまうところを心配しています。

それは今、チームを管理される立場として、声掛けをしようとか、コミュニケーションで解決していくお考えですか?

千葉

そうですね。今は毎週金曜日に週次ミーティングをしていますが、大石さんの前で言うと怒られちゃうかもしれないですけど、週次ミーティングをちゃちゃっと終わらせて、そこから30分ぐらい雑談をしてるんですよ。「あれはうまくいってんの?」みたいなライトなコミュニケーションを取ります。それの効果がすごく良いと感じているところです。

リモートワークの問題点の1つは、熱量を高めるのには向いてないこと

大石

リモートワークに、もう1つ問題点があるとしたら、熱量を高めるのには、あまり向いてないということです。1つのことに対して、目の前でわさわさと揺られながら、「おい、やるぞ」みたいな感じにならないと、なかなか気持ちは盛り上がらないじゃないですか。例えば社内で会ったときに、「これはここまでやるからな」みたいなことを念押しされたりすると、「本気なんだ」と伝えられますよね。何かを短い期間でバーンと爆発させる、そういうのにはあまり向いてないかなと感じています。

大石

逆に、こういうことをやればこういう一定の成果が出るということが、ある程度分かってる状態で、別に場所はどこでもいいよねという時には、リモートワークは向いていますよね。なので、僕らも、意識的に熱量を高めたいときが、瞬間、瞬間であるんですが、そういうときは実際に集まるようにしています。具体的に言うと、集まる機会は何度かあるんですけど、1つが年度頭のキックオフですね。「今年1年こういうことをやるぞ」というキックオフのときは、必ず全員同じ場所に集まります。

大石

あともう1つが社員旅行ですね。実は来週なんですけど、今年は河口湖と聞いています。入社一年目が幹事をやるんですが、プロジェクトマネジメントの本当にいい勉強なんですね。かつ、ここが大事なんですが、失敗しても許されるんですよ。本番のプロジェクトは失敗するわけにはいかないですが、社員旅行だったら失敗しても笑って許されますよね。1年生がリモートの人と、遠隔でコミュニケーションを取る必要もあって、テレビ会議で話したりするので、リモートワークの練習にもすごくいいと思いますね。

これはスタッフ皆さんの連帯感を高めるための工夫でもあるんですか?

大石

そうですね。

みんな帰宅してから部屋着に着替えてリモート飲み会

ほかにも何か連帯感を高めるための工夫はありますか?

千葉

半年に1回ずつ位、個人事業主の方も含めてチーム全員が集まって、一緒にご飯を食べながら、今後の開発の方針だったり、リニューアルの案だったり、リプレイスをどうしていきたいかなど、大きい設計やプロジェクトの見直しだったりを、顔を合わせながら話しますね。

大石

あとは違うチームでは月に1回リモート飲み会をやっています。僕もたまに参加するんですが、意外といけるなというのが正直な感想で。絶対やったほうがいいなって思いますね(笑)

そんなにおすすめですか!やってみます(笑)

大石

以前のリモート飲み会は、東京のメンバーは社内の飲める部屋にSkypeを持ち込んで、大阪や福岡の人と一緒に飲む形でしたが、今は東京のメンバーも帰宅して部屋着に着替えて、そこから飲むと言ってました。そうすると、東京のメンバーだけが集まってやいのやいのするんじゃなくて、大阪とか、福岡とか、仙台の人も全く同じようにリモートで飲む感じになるので、それがいいようです。

リモートの方たちが疎外感を感じないですよね。

オフィスは優秀な人でなくとも、パフォーマンスを発揮できるように最適化されている

大阪や福岡ですと、リモートワークが半ば前提みたいなところもあって社員を採用されるかなと思うんですが、「この人はリモートワークに向いているな」と思って採用したりされますか?逆にリモートワークができなそうだから採用しないということもありますか?

大石

あまり意識したことはないですね。リモートワークに向いてない人は、普通の仕事もできないんじゃないかなと思うんですよ(笑)。3.11があって1週間リモートワークをやった際、あとで集まって振り返りをしたんです。そのときの結論は、リモートワークをやると、優秀な人は素晴らしいパフォーマンスを出せるけれど、オフィスでも期待されたパフォーマンスを発揮できない人は、リモートワークではさらに難しいということです。

大石

これはなぜなのかなと思ったんですが、オフィスは、特別優秀な人でなくとも、きちんとパフォーマンスを発揮できるように、そちらに最適化されているというのが、その時分かったんですね。要は、抜きんでて優秀な人が、そうではない人に色々教えたり、教育や協力のためにたくさんの時間を使って、結果として全員が仕事をできるよう底上げしてくれている。オフィスというのは、そういうための装置だというのがよく分かったんです。

大石

その背景としては、日本の文化も関係していると思うんですが、例えば、日本の会社は「残念だけどこの人はアンダーパフォームだよね」といって、すぐに解雇することはできないですよね。なので、ちょっとアンダーパフォームだなという人でも成果を出せるように、いろいろ仕組みをつくったり教育をしたり、そういうことに優秀な人の時間がものすごく割かれるんですよね。なので、優秀な人はリモートワークをすると、すごく飛び抜けるんだと思うんです。

なるほど。自分の仕事に集中できるということですね。

大石

そうですね。それで先程の質問の答えに戻るんですが、優秀な人はリモートワークをしたら、もっとパフォーマンスが出ると思います。でも、日本の会社が、それだけで本当にうまくまわるかと言われると、そうじゃないところもあると思うので、そのバランスは、たぶんこれからリモートワークをされる皆さん、すごく苦労をされるんだと思います。僕らにも一定の答えがあるわけではなくて、色々苦しみながらやっています。ただ1つ、いきなりリモートワークをするのではなく、僕らは裁量労働制のような制度があるんですが、裁量労働制になるためには、ある一定程度みんなに認められることが必要となります。そうすると、リモートワークもやりやすくなるという形をとっています。

「クラウドで、世界を、もっと、はたらきやすく」。リモートワークはひとつの形

では最後に、今後の会社の方向性をお聞かせ下さい。

大石

はい。僕らのビジョンは「クラウドで、世界を、もっと、はたらきやすく」です。Amazonクラウドのスペシャリスト集団であることで、たくさんのお客様が喜んでくださっていますし、これからもお客様を喜ばせるため、自分たち自身もクラウドで働きやすくならないといけないというのが全員の中であるんです。リモートワークは、そのひとつの形だと考えています。

大石

例えば、今、仙台で働いている社員のこと。彼は、親御さんと一緒に暮らしたいという強い希望を持っていて、山形に帰る決意をしたんです。それで残念ながら一度退職しました。でも、クラウドという仕組みによって、リモートワークが可能になり、結果、復帰して今までの仲間と一緒に仕事ができています。それってすごく「働きやすくなったよね」と言える結果だと思うんです。

素晴らしいメリットですね。

大石

はい。そういうものをどんどん広げていこうというのが、「クラウドで、世界を、もっと、はたらきやすく」というビジョンですし、これをもっともっと追求していきたいなというふうに考えてます。

ありがとうございます。たくさんのお話がお聞きできて、とても楽しかったです!

大石

こちらも楽しかったです。本当にありがとうございました。

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株式会社サーバーワークス
勤務時間 10:00~19:00(実働8時間、休憩1時間)
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給与 270万~900万円 ※前職・年齢・経験・能力を考慮の上、優遇いたします。
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勤務地 ■東京本社
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